春の新番組とは言え、プレスツアー開催中、あるいは終了直後から始まった作品の中で、毎週楽しみにしているのは、Showtimeのドラマ「Billions」と新しいタイプのドキュメンタリー「The Circus」です。
「Billions」は、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のテレビ化?と思うほど、類似していますが、このドラマでは、ヘッジファンドで富を築いた叩き上げボビー・アクセルロッド(デイミアン・ルイス)対、NY検事局の敗訴ゼロを誇るチャック・ローズ検事(ポール・ジアマッティ)の一騎打ちを描きます。金融業界対法曹界の飽くなき闘いは、他人事として達観できる上、専門用語が分からなくても、未知の世界を垣間見るのが大好きな視聴者の好奇心をくすぐります。「マッドメン」など足元にも及ばない、卑劣で尊大なキャラのオンパレードですし、女性キャラは刺身のつま扱いですが、何しろ金持ち(成金ではありますが)の世界が舞台なので、何もかもがキラキラ輝いていて、画像が美しいのも特徴です。
「財力で何を買収できるか?どこまで奔放な生き方ができるか?」対「権力で阿漕な輩をどこまで引きずり下ろせるか?」が、目前で繰り広げられ、どちらに肩入れすることなく楽しめるのがユニークな点でしょう。但し、チャレンジが大好きなボビーとチャックの対決を、何シーズン続けられるか?と言う疑問は湧いてきます。
ルイス(左)が演じるボビーは、ドン・ドレイパーなど目じゃないほど卑劣で傲慢なキャラだが、家族は大切にする21世紀の男。ジアマッティ(右)が演じるチャックは、公的には天下無敵の検事だが、私生活ではBDSMを楽しんでガス抜きする。 WENN.com
最近、ドキュメンタリーのヒットを打ち続けるShowtimeの「The Circus」も、早く続きが観たいと思う作品です。副題はInside the greatest political show on earthとなっており、世界最大級の国政見世物とされています。現在進行中の2016年米国大統領候補予備選を、アイオワ、ニューハンプシャー、サウス・カロライナ、ネバダ州、スーパー・チュースデーなどの要所要所で、「ゲーム・チェンジ」の原作者ジョン・ハルパリン、マーク・ハイレマンと政治アドバイザー(元43代大統領ブッシュのチーフ・メディア・アドバイザー)マーク・マッキノンの3人がレポートします。共和党と民主党の党大会までの長くて短い道のりを、各候補者、選挙事務所員、家族、政治記者、サポーター等、いわゆる舞台裏を取材する異色ドキュメンタリーです。
「The Circus」のパネルインタビューで配られた、候補者の選挙運動バッジ。最上列左共和党の象徴「ゾウ」以下、3列11人の候補者のバッジに対し、民主党の象徴「ロバ」の下には、クリントン、サンダース(大小)、オマリーの3候補しかいない。 (c) Meg Mimura
昨年は、オバマ大統領のように応援したくなる人格者が土壇場になって登場し、米国を救ってくれるだろうと、結構楽観的に構えていた私です。ところが2016年後半に入って、トランプ旋風が吹き始め、年末の里帰り時に、「ドナルド・トランプが、次期大統領になるのでしょうか?」の質問攻めに会いました。あの時点では、ヒラリーがトランプにお金を払って共和党候補指名争いに参加してもらい、トランプとの対決に持ち込めば、「トランプよりはマシ!」思う人の票が集まることを見越してのヒラリーの策略に違いないと私は信じていました。女性に大統領になってもらいたいとは思いますが、ヒラリーは適任者ではありません。クリントン夫婦に多大な不信感を抱いている私は、今回の選挙には全く興味がなく、故に2008年と同様、「ヒラリーが当選したら、日本に帰る!」と笑っていたのですが....
パネルインタビューの時点で、候補争いに残るのは、共和党はクルーズ上院議員、トランプ、民主党はクリントンとサンダース上院議員と予想された。 (c) Meg Mimura
「The Circus」のパネルインタビューで配られた共和党と民主党から候補に選ばれたいと予備選に出馬している候補者の選挙運動バッジを見て、ほとんどの名前を知らなかったので、評論家仲間から予想を聞いてみました。そして、1月17日に始まった本作を毎週観て、勉強しています。それにしても、3月1日のスーパー・チュースデーで、トランプとヒラリーが上位に躍り出て、益々私が書いたシナリオ通りに事が運んでいます。いよいよ、日本に帰国する(永久に)計画を練らなければならないような気配です。土壇場で颯爽とヒーローが登場しない限り、地味ではありますが、一番まともで、米国の将来を案じているバーニー・サンダース上院議員に肩入れするしかないと言う結論に達しました。
サンダース(74歳)は、米国の未来に夢も希望も見出せない若者から支持されている。自称社会主義者サンダースの誠実さと政治家の妻然としていないジェーン夫人は信頼できる。 WENN.com
継続番組ではありますが、ABC「American Crime」も続きが楽しみな作品です。昨年エミー賞限定シリーズにノミネートされた「American Crime」のシーズン2です。ABCから送られてきた4話は、シーズン1とは舞台も内容もすっかり様変わりしています。「アメリカン・ホラー・ストーリー」でライアン・マーフィーが復活させたシステムで、レパートリー劇場のように、演目毎に俳優が異なるキャラを演じます。
昨年5月14日の「2015年5月のエミー賞根回しイベント」で触れましたが、「American Crime」シーズン1は人種差別から発生した殺人事件を巡り、薬物常用者への偏見、階級、教育などに取り組んだ重厚なドラマでした。シーズン2は、インディアナポリスを舞台に、私立高校のバスケ・チームのパーティーで起きた暴行事件後の被害者、加害者と家族を描きます。背景に見え隠れするのは、私立対公立高校、階級/教養/貧富の差、陰湿化するいじめなどですが、被害者を少年にすることによって、ホモフォビアがドラマの核心になっています。また、終盤では被害者が加害者に変わる過程を、コロンバインの乱射事件を体験した教師や、カミングアウトした若者達の苦い体験談を交えながら、ドキュメンタリー仕立てに変え、赤裸々に描くのも面白い点です。現代の若者が直面する数限りない障壁は、見応えがあります。と同時に、現代の親が抱えているとてつもなく大きな問題が提示され、気が重くなるのも確かです。
シーズン1では、二人の息子を女手一つで育てたバツイチの母親を演じたフェリシティ・ハフマンですが、誰も信用しない心を閉ざした理由が描かれていたので、共感できるキャラだったと絶賛しています。しかし、ハフマンが今シーズン演じる、雇われ校長レスリーは、教育者ではなく、体裁のみを繕って成功してきた冷血なビジネスウーマンです。生徒は飽くまで資金を集めるための頭数でしかなく、人間としての温かさを全く感じさせません。レスリーの生い立ちや背景は、本筋には無関係ですし、そこまで描いている余裕がないとは思いますが、奥深いキャラではないので、全く共感できないのでしょう。
雇われ校長レスリーを演じるハフマン。「シーズン1の印象を完全に消したかった」と髪の色まで変えて熱演中。 WENN.com
又、シーズン1の活躍を認められて限定シリーズの助演女優でエミー賞を手に入れた、名優レジーナ・キングも、ハフマンと同様の変身振りを披露しています。今シーズンは、インディアナポリスの名士で、財力と権力を濫用して、事件の容疑者の筆頭にあがったバスケ部のキャプテンである息子を守ろうとします。結末や如何に?
エミー賞受賞女優キングは、地位と財力に物を言わせて、息子を守ろうと必死になるテリー役。 WENN.com
現在進行中の新作「Billions」と「The Circus」が面白い!
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キャリー・プレストンのファンに吉報!友達親子に物申す「Crowded」に主演
「グッドワイフ」に登場する数あるユニークなキャラの中で、スピンオフを制作して欲しいと願う視聴者数が最も多いのが、キャリー・プレストンが演じるエルズベス・タシオニ弁護士です。そのプレストンが主演する春の新番組「Crowded」が、いよいよ放送開始となります。
タシオニ弁護士ほど一瞬たりとも目が離せないキャラではありませんが、友達親子のジレンマを一身に引き受けるマーティーナを演じるプレストン。子供がいないプレストンは、「大学院に行く前の数ヶ月、母親と同居して友達親子になった」と明かした。 WENN.com
ぬくぬくと生活できた実家が恋しくて、巣立った筈の若者が舞い戻ることをブーメラン現象と呼びます。米国では、伝統的に18歳あるいは大学に進学する時点で親元から独立するのが常識でしたが、2010年のリーマンショック以来、実家に戻る若者の数は年々増加し、今や社会問題になっています。
去る1月13日に実施された「Crowded」のパネルインタビューで、番組を創作したスザンヌ・マーティンは、本コメディーは「正に私の現実よ!」と告白しました。「ミレニアル世代の31%が実家で親と同居してると言う統計が出てるわ。注目すべき点は、何と80%が負け組と恥じるどころか、ぬくぬくと生活しているってこと!友達親子が多いって証拠じゃない?」と2015年の統計を披露しました。
20年余り子育てを優先して生きてきたマイク(パトリック・ウォーバートン)とマーティーナ(プレストン)が、やっと夫婦二人で自由を謳歌しようとしている矢先に、思いがけない邪魔が入ります。女優志望の長女ステラ(ミア・セラフィノ)と、天体物理学者を目指す次女シェイ(ミランダ・コスグローブ)が舞い戻り、老後を楽しむためフロリダに引っ越しする予定だったマイクの父親ボブ(ステイシー・キーチ)と後妻アリス(カーリース・バーク)が離れに居座ることになります。ブーメラン現象で親子三代が一軒家に同居するマーティンの現状を風刺すると同時に、ミレニアル世代を世に送り出してしまった友達親子の功罪をコメディー・タッチで描きます。
マイク役のウォーバートンは、マーティーナよりは子離れしているが、愛娘なので過保護になりがち。「でも、我が家の現実より、まだ救いがある」と本作がいかに軽症であるかを指摘した。ブーメラン現象や友達親子の蔓延度が伺える発言だ。 WENN.com
ステラやシェイが代表するミレニアル世代とは、1980年~2000年代前半に生まれた若者層のことで、日本の氷河期世代の終末部+ゆとり世代に匹敵すると言えば、思考経路をご想像頂けるでしょう。子供に嫌な思いをさせないため、叱らない/諭さない/躾けない/過保護の’友達志望の親’に育てられた世代のことです。
また、マーティンはミレニアル世代は「アメアイ世代」とも括ります。才能も技術も身につけていないのに、容易に「アメアイ」でアイドルになって富、名声を手に入れられると確信して止まない人種だからです。躓くと周囲や環境の所為にし、反省は一切なく、何の躊躇もなく実家に転がり込み、「帰ってきてあげたんだから、面倒みるのが当たり前でしょ!」的態度をとります。
「アメアイ世代」を絵に描いたような歌手/女優志望のステラを演じるセラフィノ。長女は普通、責任感が強い筈では? WENN.com
自らの体験を顧みて、「友達親子は、子育てじゃない。独り立ちできない、大人になりたくない子を育てたら、後悔先に立たず!と注意されたけど、それを敢えてやってしまった我々の世代を描きたかった」とマーティンは創作の動機を明かしました。自業自得と知りつつ、スパルタ教育で叩き上げられた団塊の世代は、正反対の友達親子になってしまい、此の期に及んで友達と親の狭間に立っていると漸く気付いたのでしょうか?
マイク役のウォーバートンは、「僕は『Crowded Light』って呼びたいね。我が家には子供4人と犬が4頭同居してるから、もっと重症ってことだよ。去年は、がん末期の舅を引き取り、看病に姻戚が出たり入ったりだったし、子供の彼氏や彼女も居着いてるし....」と、本作が如何に軽症であるかを語りました。
コスグローブが演じるシェイは、頭が良い分、社交性ゼロの物理オタクだ。姉ステラからデート術を伝授してもらうほど正反対だが、出世の確率は完全に高い妹シェイ。 WENN.com
子供に嫌われることが何よりも怖い親が、煽て上げて育ったミレニアル世代を演じるコスグローブは、(ウォーバートン曰く「子役で稼いで12歳で購入した」)持ち家があるにも関わらず、「99%は実家にいるわ。喧嘩になったら、『帰る!』って脅すけど、実家で過ごす方が楽」と述べました。友達親子については、「お父さんもお母さんも大好き。大事にしてくれるし、実家の私の部屋はそのままにしてくれてるし...」と子供に戻れる実家が痛くお気に入りです。
甘やかして、居心地満点にすれば、依頼心の強いミレニアル世代のこと、いつまで経っても巣立つ訳がありません。私は他人事と笑っていられますが、友達親子の功罪を徹底的に分析して、米国の将来を担える若者に鍛え直して頂きたいものです。
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「トーマス・クラウン・アフェア」のテレビ化?華麗ないたちごっこドラマ「The Catch」いよいよ開始
ABCのヒットメーカーとして君臨するションダ・ライムズが放つ春の新作「The Catch」。初めてパイロット版を目にしたのは、2015年1月でした。2015年冬のTCAプレスツアーの準備のため、ABCのサイトでストリーミングを観て以来、いつかいつかと待ち続けていたドラマです。詐欺や横領を専門に調査する会社で働くアリス(「THE KILLING~闇に眠る美少女」のミレイユ・イーノス)が、若いツバメに騙され、沽券に関わる!と復讐に立ち上がると言う設定でした。映画「トーマス・クラウン・アフェア」をテレビシリーズ化しようと言う意図が読み取れ、のめり込む要素はたっぷり、続きが観たい!と思う数少ないドラマの1本だったのですが....
ションダランド三人目のヒロインは腕利の調査員アリス(イーノス)。「THE KILLING~闇に眠る美少女」のサラ・リンデンとは正反対の、華麗でオシャレなデキる女に変~身。リンデンが見せたことのない’微笑み’が「The Catch」の売りだ。 WENN.com
昨年1月のプレスツアーでは紹介されず、一体どうなってるのか?と案じていましたが、5月頃から幸先の悪い報道が流れ始めました。7月、アリスをカモにした詐欺師を演じたデイモン・ダユーブが三行半を突きつけられ、代わりに「シックス・フィート・アンダー」等で日本でもお馴染みのピーター・クラウスが配役されたと報道されました。特にダユーブが良かったからと言う訳ではないのですが、どのキャラを演じても代わり映えしないクラウスは適材ではないので、待ち侘びていた番組だけに、がっかりしました。更に、翌月にはクリエイター(創作+脚本)ジェニファー・シュール(「THE KILLING~闇に眠る美少女」のライター)と制作を担当するジョシュ・レイムズ(「ブラザーズ&シスターズ」「ダーティー・セクシー・マネー」他)が降板してしまったのです。代わりに「スキャンダル」でお馴染みのアラン・ハインバーグに白羽の矢が立っていると伝えられ、期待のドラマが次々と変貌を遂げていることが察知できました。キャストの変更は頻繁にありますが、クリエイターの入れ替え=番組のヴィジョンが貫けなかったと読み取れ、トラブルの前兆に他なりません。
実業家クリストファー(クラウス)の本性は?30代のダユーブから、50代のクラウスに乗り換えたのは、アリス(イーノス)と渡り合える詐欺師にしたかったからに違いないが、クラウスがトーマス・クラウンの器量を備えているとは思えない。 WENN.com
そして、今月に入って初めて流れた番組のトレーラーは、以前観たパイロットでは頭脳戦が示唆されましたが、180度転換して、イーノスとクラウスのアクション路線に乗ってしまったように見えました。益々クラウスは適材ではない!と確信、期待感で膨らんでいた風船に又々、穴が開いて、空気が抜けて行きます。
いよいよ3月24日にプレミアに漕ぎ着ける「The Catch」ですが、ABCは本年1月のプレスツアーで紹介するどころか、未だにパイロットを送ってきません。これも局がこの作品にどの程度期待を寄せているかの証拠です。これまでションダ・ライムズのお墨付きドラマ(「OFF THE MAP/オフ・ザ・マップ」と「殺人を無罪にする方法」)は、ライムズ王国の家来がクリエイターでしたが、本作はどのような経路で入手したのかは不明ですが、家来が創作したドラマではありません。故に、継子扱いされているのかしら?と勘ぐってしまう程、邪険に扱われています。
いかにパイロットを入手しようかと思案している矢先に、テレビアカデミー会員向けのサイトで、ストリーミングされているので、是非プレミア前にご視聴あれ!とメールが舞い込みました。ラッキー!と早速観たのですが....内容はボツになったパイロットから大幅に変わっている上、やはりジャンルは追いつ追われつの犯罪捜査アクションドラマに変身しています。もっとも、二話以降は頭脳戦にレールが敷き戻されている可能性は無きにしも非ずですが....
アリス・ヴォーン(イーノス)は親友ヴァレリー・アンダーソン(ローズ・ローリンズ)と富豪や法人の不法侵入/詐欺/知的財産窃盗対策や警備を請け負うアンダーソン・ヴォーン調査事務所(AVI)を共同経営しています。泣く子も黙る調査員アリスは、何度も挑戦状を送りつけてきた謎のミスターXにかまけて、1年前に巡り合った実業家クリストファー・ホール(クラウス)との結婚式の準備は二の次にしてきました。式前日、駆け落ちを提案したまま、クリストファーはアリスの全財産と共に忽然と姿を消してしまいます。敏腕調査員が結婚詐欺のカモに!?プライドを傷つけられたアリスは、ヴァレリーや部下の力を借りて、クリストファー狩りに乗り出すのですが....意外な事実を探り当てたアリスは、AVIの死活を賭けて、クリストファーと追いつ追われつ劇にのめり込んで行きます。
イーノスの笑顔を初めて目にした喜び(?)とは裏腹に、陰気臭いクラウスは本作の翳りと言えるでしょう。他に適材が山といるに違いない....私なら誰を配役するかな~と、パイロット版を観て以来、毎日考えました。あーでもない、こーでもないと候補を挙げた結果、私は「コンティニュアム」で好演したビクター・ウェブスターが適役かと....今更、遅いのは百も承知です。(笑)
ションダランド制作の「スキャンダル」や「殺人を無罪にする方法」とパターンは同一で、本作でも我らがヒロインは仕事に生きる親分格で、オリヴィアの「グラジエーター」、アナリーズのエリート生徒(未だに渾名がつきませんね~)のように、各分野に長けた子分に支えられて誰にも負けない仕事振りを発揮します。ところが、デキる女トリオに共通するのは、紺屋の白袴だと言う点です。こと私生活となると、からっきしダメ女なのです。救いは、いずれのヒロインも極上のファッションセンスの持ち主であることでしょうか?
ションダランドの三大ヒロインが勢揃い。左からアナリーズ・キーティング(ヴィオラ・デイビス)、オリヴィア・ポープ(ケリー・ワシントン)、アリス・ヴォーン(イーノス)。デイビス主演の「殺人を無罪にする方法」シーズン2が終了し、代わって「The Catch」が同時間枠を埋める。 WENN.com
本作は映像が実に美しく、工夫を凝らしたトランジションは格別です。舞台はLAですが、15年余りここに住んでいる私でさえ、「LAって、こんなに綺麗な町だっけ?」と惚れ直してしまいました。願わくは、目の保養になる美男子が入れ替わり立ち替わり登場して、クラウスの翳りを照らしだしてくれることです。
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2016年3月に開催されたエミー賞根回しイベント
3月から2016年エミー賞根回しイベントが始まっています。今年もATASの劇場が改築中のため、イベント会場は昨年同様LA中に拡散しており、夜運転したくない私は、どのイベントに敢えて参加するか?厳選せざるを得ません。
【3月のスケジュール】
3月22日「You Me Her」(Audience Networkで放送されている三角関係を描いた新コメディー)
3月24日「Crazy Ex-Girlfriend」(昨年9月7日「レイチェル・ブルーム、プリヤンカー・チョープラーの魅力でお薦め!」でご紹介した、CW局の一押しロマコメ・ミュージカル)
CWから送られてきた根回しイベントへの招待状。
3月初旬「Crazy Ex Girlfriend」への招待状が舞い込みました。待ってました!と、受け取るや否や即答しました。
入口に掲示された番組のポスター。レベッカの狂気の沙汰が巧みに表現されている見事なポスターだ。 (c) Meg Mimura
会場は、幸いATAS本部のはす向かいにあるEl Portalと言う360席の古い劇場です。ATASのレナード・H・ゴールデンソン劇場が600席余りだったので、席を確保しなければ入場することさえできないだろうと思い、早目に出たつもりだったのですが....
エル・ポータル劇場のマーキーには、本日の出し物「Crazy Ex-Girlfriend」とレイチェル・ブルームの名前が表示されている。 (c) Meg Mimura
到着した時には、劇場の前に長蛇の列ができており、開場と共に全席が埋まってしまうほどの人気です。幸い、入口近くに設けられたプレッツェルとボバ・カート(番組内でよく話題になる食べ物が振舞われました)を館内に持ち込んで食べようと参加者が並んでいる間に、会場に滑り込み、前から3列目中央に陣取ることに成功しました。
ブルームが舞台に登場し短い挨拶をした後、いきなり下着姿になり、パイロットで歌った「The Sexy Getting Ready Song」を共演者2人と歌って踊り、会場を大いに沸かせました。何しろ、この番組のファンのみが会場に詰めかけているので、他では見られない「スペシャル・ライブ・パフォーマンス」は格別です。
左からピート・ガードナー(レベッカの上司ダリル役)、ブルーム(レベッカ役)、ドナ・リン・チャンプリン(レベッカの同僚兼母親代わりポーラ役)が、下着姿でデートに出かける前のおめかしの様子を表現するスペシャル・ライブ・パフォーマンスを披露。 (c) Meg Mimura
このオリジナル曲はパイロットの目玉だったので、スペシャル・ライブ・パフォーマンスでレベッカ+他のキャラが参加したことに大いに意義がある。
ブルームは、本年1月ゴールデングローブ、コメディー部門女優賞を受賞した今一番売れっ子の’トリプル・スレット’(歌って、踊って、芝居ができる芸人)以上の才能の持ち主ですが、庶民的な気さくさが売りです。人間の’哀しさ’を熟知した上で、醜い面を敢えてさらけ出す自虐的ギャグが、他のコメディエンヌには真似できない点です。
パネルインタビューに参加した(左から)ガードナー、作詞作曲家アダム・スラセンジャー、クリエイター/プロデューサーのアライン・ブロッシュ・マッケンナ、自作自演のブルーム、ジョシュ役ヴィンセント・ロドリゲス3世、チャンプリン。 (c) Meg Mimura
ポーランド系アメリカ人のブルームは、「根暗だからポーランドは居心地が良いけど、太陽が燦々と降り注ぐカリフォルニアは、いつも陽気な’振り’をしていないと嫌われるから疲れる」と言います。確かに、いつも明るく、楽観的に=テンションを上げた状態を維持するほど、しんどいことはありません。
ジョークのはけ口、あるいは溢れる想いを表現するために、オリジナル曲が巧みに使われています。ファンの願いが叶って、シーズン1のサウンドトラックが発売されました。なかなかの名曲があり、私はミュージッックビデオを出して欲しいと希望していましたが、当座YouTubeにCW局が何曲もあげているので、興味ある方は是非ご覧ください。
私のお薦めは、
1位 Sex with a Stranger
2位 Settle for Me
3位 The Sexy Getting Ready Song
4位 I'm in a Sexy French Depression
5位 You Stupid Bitch
本作はロマコメ・ミュージカルではありますが、自らうつ病を患ったこともあるブルーム曰く、「恋愛って何なのか?自分を100%受け入れる前に、人を愛せるのか?がテーマよ」と述べ、人間としての奥深さを披露しました。是非、エミー賞をとって欲しい、一見軽いノリながら、底深い今時珍しいロマコメです。少なくとも、「トリプル・スレット+α」のブルームを認めてあげてください、ATAS俳優グループの皆々様。
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2016年4月のエミー賞根回しイベント
4月15日の時点で、既に終了した根回しイベントと、今後実施されるもののスケジュールをお知らせします。
【4月のスケジュール】
4月3日「Catastrophe」
Amazon Primeでストリーミングされている英国製のロマコメ
4月4日「American Crime Story」
ライアン・マーフィー制作のO・J・シンプソン事件の容疑者シンプソンの陪審裁判の過程を描いた限定シリーズ
上の招待状とは異なり、パネルインタビューに参加したのは、ジョン・トラボルタ、サラ・ポールソン、キューバ・グッディング・ジュニア(シンプソン役)、コートニー・B・ヴァンス、スターリング・K・ブラウン、ネイサン・レイン、コニー・ブリトン+制作陣6名。
4月7日「The Night Manager」
4月19日開始のジョン・ル・カレ作「ナイト・マネージャー」のミニシリーズ化(6時間)
(左)ジョナサン・パイン/アンドリュー・バーチ(トム・ヒドルストン)対リチャード・ローパー(ヒュー・ローリー)の一騎打ちが面白い。
4月10日「The Contenders」
ハリウッド業界紙の老舗Deadlineが、38作を1日でインタビューしまくるイベント
HBO「Confirmation」インタビュー後、抽選会に参加する(左)ケリー・ワシントン。 (c) Meg Mimura
「新スタートレック」のピカード艦長とは、正反対の破廉恥ニュースキャスターを演じるパトリック・スチュアート。役作りについて話しが弾む。 (c) Meg Mimura
「American Crime」シーズン2の役所を語る(左から)フェリシティー・ハフマン、レジーナ・キング、リリー・テイラー。シーズン3の可能性も示唆された。 (c) Meg Mimura
カルト教団を描く暗くて不気味なドラマ「The Path」の主演は、(左から)ヒュー・ダンシー、ミシェル・モナハン、アーロン・ポール。 (c) Meg Mimura
4月11日「Odd Mom Out」
会場はNY。NYの富裕階級に馴染めないながら、どっぷり浸かっている三児の母/専業主婦ジルの葛藤を描くコメディー
「Watch What Happens Live」司会のアンディー・コーエン(左端、等身大)が、「Odd Mom Out」キャストのインタビューを務める。コーエンの右隣が本コメディーを自作自演するジル・カーグマン。
4月12日「The Mindy Project」
今シーズンからHuluに転居したミンディ・ケイリング自作自演のコメディー
番宣ポスターは常に明るくて楽しそうだが、コメディーと言うより、ブラック・ユーモア?と聞きたくなる。
4月15日「Younger」
2015年3月27日の「サットン・フォスターのTV復帰作」としてご紹介したアラフォーのバツイチママの職場復帰コメディー。シーズン2が終了したばかりだが、2の放送開始前にシーズン3更新が発表された。
イベント参加予定は、サットン・フォスター、ヒラリー・ダフ、デビー・マザール、ミリアム・ショア、ピーター・ハーマン+クリエイターのダーレン・スター。
4月14日「ベター・コール・ソウル」
「ブレイキング・バッド」のスピンオフ。シーズン1でソウル役のボブ・オデンカークがエミー賞主演男優賞にノミネートされた、実力派ドラマ
イベント参加は、ボブ・オデンカーク、ジョナサン・バンクス、マイケル・マッキーアン、リア・シーホーン、パトリック・フェイビアン、マイケル・マンド+制作陣2名。
4月17日「Underground」
WGN局で今春開始された、奴隷時代の米国を描くドラマ
4月18日「Blunt Talk」
Starz局で4月18日からシーズン2が始まる、破廉恥極まりないニュースキャスターのコメディー。
イベント参加予定は、パトリック・スチュアート、ジャッキー・ウィーバー、クリエイターのジョナサン・エイムズ。
4月18日「アフェア」
会場はNY。LAでもイベントを開催して欲しい、今一番面白い人間ドラマ
イベント参加予定は、ドミニク・ウエスト、ルース・ウィルソン、モーラ・ティアニー、ジョシュア・ジャクソン、+プロデューサー2名、キャスティング・ディレクター2名、衣装デザイナー。
4月19日「Jane the Virgin」
2014年10月1日「今秋の異色作」としてお知らせしたCW局のテレノベラ米国版コメディー。お決まりのラテン系アメリカ人の役は以ての外!と、ジーナ・ロドリゲスが選んだ作品もシーズン3進行中
イベント参加予定は、写真のキャスト全員+ナレーターと制作陣2名。但し、幼児は不参加!
4月21日「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」
Amazon Primeでストリーミングされているクラッシック音楽の世界を描くドラメディー。シーズン3更新。
イベント参加予定は、ガエル・ガルシア・ベルナル、サフロン・バロウズ、ローラ・カーク、マルコム・マクダウェル、バーナデット・ピータース+制作陣3名。
4月25日 「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」
米国では、6月26日シーズン4が始まる
イベント参加予定は、リーヴ・シュレイバー、ジョン・ヴォイト、ポーラ・マルlコムソン、エディ・マーサン、ダッシュ・ミホク、スティーヴン・バウワー、キャサリン・メーニッヒ、プーチ・ホール、デヴォン・バグビー、ケリス・ドーシー、ケイティ・ホームズ+制作陣3名。
4月27日 「Billions」
3月7日「現在進行中の新作」記事でご紹介したShowtime局のドラマ。ヘッジファンドで富を築いた叩き上げボビー(デイミアン・ルイス)対NY検事局の敏腕検事チャック(ポール・ジアマッティ)の一騎打ちを描く。シーズン1は、4月10日放送の第12話で終了。
イベント参加予定は、ポール・ジアマッティ、デイミアン・ルイス、マギー・シフ、マリン・アッカーマン、デヴィッド・コスタービル、コンドラ・ラシャード+制作陣2名。
4月28日「ファーゴ」
FXのヒット作。米国では、2017年春にシーズン3開始予定
イベント参加予定は、パトリック・ウィルソン、ジーン・スマート、テッド・ダンソン、クリスティン・ミリオティ、ボキーム・ウッドバイン、アラン・ドブレスク、ブラッド・ギャレット、レイチェル・ケラー+制作陣3名。
4月30日 「ダウントン・アビー」
米国では、つい1ヶ月ほど前にシリーズを完了した大ヒット作
イベント参加予定は、ジム・カーター、レスリー・ニコル、+クリエイターのジュリアン・フェロウズ。
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「グッドワイフ」’完’への秒読み開始ー不死鳥アリシアの行く末は?
※「グッドワイフ」シーズン1~7(最終)までのネタバレ情報を含みます。
2008年、彗星の如く登場した「グッドワイフ」は、来たる5月8日でシリーズ完結となります。本サイトに執筆させていただくようになって以来、事あるごとに、「グッドワイフ」の秀作ぶりに言及してきましたので、もう耳にたこができているかもしれませんが、フィナーレを迎える前に、もう一度讃歌を歌わせてください。
赤いドレスが際立つ印象的なポスター。「グッドワイフ」と言うタイトルから、女性向けのメロドラマに違いないと男性視聴者は敬遠したと言うが、実は政界+法曹界+政治家家族のハイブリッド・ドラマだ。WENN.com
昨年、エミー賞スペシャル動画「私の選ぶベストドラマ(1)」で、21世紀に入ってからの秀作は?と聞かれ、NBCの「Friday Nights Light」(2006~11年)と「グッドワイフ」(2008~16年)を、甲乙付けがたい2作としてご紹介しました。「Friday Nights Light」はテキサスの田舎町で繰り広げられるアメフトコーチ一家の家族ドラマです。一方、「グッドワイフ」は良妻賢母アリシア・フローリック(ジュリアナ・マルグリーズ)が、社会(法曹界と政界)の荒波に揉まれて、人間として、弁護士として成長して行く過程を描きます。両作に共通するのは、「グッドワイフ」のクリエイターであるキング夫妻の信条「天と地がひっくり返った時こそ、人間が成長する又とない機会」が、あの手この手で描かれていることです。如何にユニークなキャラでも、シリーズ開始時と完了時とが同じでは、キャラの旅に同行する意味がありません。
クリエイターのキング夫妻は、本シリーズを「アリシアの鍛錬」と定義する。女が自立する為に歩まなければならない行程が描かれた、学ぶこと満載の希少なドラマ。WENN.com
昨年10月に開始されたシーズン7が余りにも毛色が変わってしまい、今年1月のプレスツアーで「グッドワイフ」の前途について質問が出ました。CBSエンターテインメント社長は「キング夫妻は、今シーズン限り」と答えたのみで、更新有無については完全にはぐらかしました。ところが、2週間後の1月21日に、マルグリーズが「4月には失業するから」とキャスティング・ディレクター軍団に挨拶したことが報道され、口を濁していたCBSの秘密が発覚してしまいました。マルグリーズの失言?CBSの手落ちか?と取り沙汰されましたが、この意味深発言で、遂に来るものが来た!と、覚悟を決めた私です。
アーチー・パンジャビ(左)とマルグリーズの不仲は、いつ頃から始まったのだろう?シーズンを遡って、二人の共演シーンを分析するのもファンの楽しみの一つ?WENN.com
最後通牒は、2月7日スーパーボウル放送中に流れたトレーラーです。「残り9話を以って、この秀作は画面から姿を消すことになりました」的御達しを、CBSがスポーツ中継の途中に流したのです。翌朝、CBSニュースでトレーラーが取り上げられ、ファンをバカにしてるじゃないか!と腹が立ちました。皆が皆、スーパーボウルを観ているとは限らないからです。
この日から、5月8日まで9話を引き延ばす必要があるため、CBSは1ヶ月に2話の割で「小出し」にしてきました。完結話から逆算して、一挙にフィナーレまで放送して欲しかったと思うのは、私だけでしょうか?漸く、4月17日から、完結に向かって秒読みが始まり、それなりにキング夫妻やキャストの声が報道され、盛り上がりを見せています。
2014年、ATASで「グッドワイフ」シーズン5について語るミシェル・キング(左)とロバート・キング。居心地が良くなると、人間はなまってしまうので、現代女性の鑑アリシアを不死鳥として蘇らす手段として、「毎シーズン、天と地がひっくり返るような’爆弾’を投下してきた」と夫妻は説明する。ウィルの死は前代未聞の大型爆弾だったが、以降色恋沙汰がなくなり、アリシアは人間として大きく飛躍した。
(c) Meg Mimura
但し、マスコミの関心は、
1)ゲスト出演者は誰なのか?
2)ウィル(ジョシュ・チャールズ)は最後にもう一度登場するか?
3)スピンオフの可能性、どのキャラを中心に制作すべきか?
に集中しています。
ウィル(チャールズ・左)とダイアン(クリスティーン・バランスキー)が、法律事務所を仕切ってきたが、ウィルの死後、ダイアンの理想と現実の差は広がる一方。事務所の内輪揉め、乗っ取り、合併吸収が相次ぎ、心休まる間がないものの、良き伴侶に恵まれる。ウィルが残り3話に登場する可能性は低いが、ダイアンをスピンオフのキャスト候補に上げる人は多い。WENN.com
アリシア(マルグリーズ・左)とケイリー(マット・ズークリー)の関係は複雑そのもの。シーズン6以降、ケイリーはどんどん存在感を失くして行くが、スピンオフの有力候補と噂されている。WENN.com
年貢の納め時!私は潔く諦めましたが、シリーズを如何に完結するか?は、制作陣にとって最大の難関です。「マッドメン」のずっこけエンディング(2015年5月21日の「えー、あり得ない!で終わった『マッドメン』」を参照)、未だに笑い種になっている「LOST」の死に落ち、「ソプラノズ」の腑に落ちない'完'など、「何それっ?!」の好例は数えだしたら切りがありません。2014年12月30日の「有終の美を飾った『ホワイトカラー』」で絶賛したように、心に響く’完’、忘れ難い最終回は、希少価値と言えるでしょう。
この秀作が始まった時から、キング夫妻が「グッドワイフ」の心髄は、「アリシア・フローリックの鍛錬」だと再三述べており、アリシアが行き着く最終目的地を常に心して書いていると公表してきました。150話余りを制作してきたキング夫妻のこと、有終の美を飾るものと確信していますが、最終目的地がどこなのか?が気掛かりです。シーズン1には、一体どのような終り方をするのか全く見当もつきませんでしたが、シーズン3辺りに、私はアリシアが米大統領に就任する姿を想像するようになりました。
シーズン6で政界に足を踏み入れかけたアリシアだけに、大統領就任への前兆と読んでいたのだが....政界の汚い駆け引きに辟易し、法律事務所にも戻れなくなったので、政界は鬼門なのか?WENN.com
大統領選に出馬した夫ピーター(クリス・ノース)が候補予備選で呆気なく引き下がり、今シーズン予想されていたフローリック一家のホワイトハウス入りの夢が無惨に破れました。この辺りから、私のアリシア大統領就任説が崩れ、軌道修正に入らざるを得なくなりました。更に、4月17日の逸話では、証拠隠滅や汚職容疑で州知事ピーター・フローリックが逮捕され、パイロットと類似したシーンが繰り広げられました。歴史は繰り返されると言うことですが、夫に付き添うアリシアが7年前とは異なり、自信に満ち満ちていたのが最大の相違点です。容疑は異なれど、夫ピーターは同じ状況に陥りましたが、嘗て夫の陰に潜んでいた、おっかなびっくりの良妻賢母アリシアは、酸いも甘いも噛み分け、人生を達観する大人の女に成長しました。
ピーター(ノース)は、目的の為には手段を選ばないからこそ州知事までのし上がった。政界向きと言えるかもしれないが、出世欲や負けず嫌いの性格と解釈すれば、ウィルとピーターは同じ穴の狢(ムジナ)と診る。WENN.com
残り3話となり、アリシアの大統領就任の可能性は毎回減少していますが、4月17日に開催されたNYトライベッカ映画祭のパネルインタビューで、マルグリーズが「納得のいく、心にしみる、切ない終末」と描写しました。何でも、完結話の脚本と赤ワインの瓶が届き、キング夫妻が添えたカードには「アリシア、飲みながら読んでください」と書かれていたそうです。マルグリーズは3回読み直し、読む度にご主人に感想を尋ねられ、1回目「何が何だか...混乱してしまった」、2回目「うーん。すっごく複雑!!」、3回目「哀しい」と答えたそうです。4回目、「読み終わってすぐ『さ・す・が!』と、キング夫妻にメールを送った」と、マルグリーズは語りました。
7年に渡り、心身ともにアリシアに成りきったマルグリーズが、4回読んで納得した結末とは、一体どんなものなのでしょう?楽しみであり、早く観たいけれど、観たくない....複雑な気持ちで、迎える5月8日です。
弁護士を続けるのか?何もかも捨てるのか?可能性は無限大ではあるが、浮世のしがらみが失くなった今、自分のことだけ考えて、生きて欲しい。不死鳥アリシア、大空へ羽ばたけ!WENN.com
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5月13日までに予定されているエミー賞根回しイベント
【5月のスケジュール】
5月2日「モダンファミリー」
昨年、「Veep」にエミー賞最優秀コメディー賞、主演女優賞、助演男優賞を譲ってしまったが、シーズン7で未だに健在。
パネルインタビュー参加予定は、エド・オニール、ソフィア・ヴァーガラ、ジュリー・ボーウェン、タイ・バーレル、エリック・ストーンストリート、アリエル・ウィンター、ノーラン・グールド、リコ・ロドリゲス、オーブリー・アンダーソン=エモンズ。
5月3日「ジェシカ・ジョーンズ」
最近人気のアンチヒロインが活躍するサイコスリラー。
参加予定は、クリステン・リッター、キャリー=アン・モス、メリッサ・ローゼンバーグ、マイク・コルター、レイチェル・テイラー。
5月5日「トランスペアレント」
アマゾンのオリジナル・シリーズの中で、時代の流れに上手に乗った、勢いのあるドラマ。但し、コアファンだけが観ている可能性は大。
参加予定者は、ジェフリー・タンバー、ジュディス・ライト、エイミー・ランデッカー、ギャビー・ホフマン、ジェイ・デュプラス、アレクサンドラ・ビリングス、キャスリン・ハーン、メロラ・ハーディン、チェリー・ジョーンズ+クリエイターのジル・ソロウェイ。
5月6日「American Crime」
舞台も内容もシーズン1とはすっかり異なるが、現代の米国社会が抱えている様々な問題を凝縮した重厚なドラマ。昨年に引き続き、エミー賞最優秀限定シリーズ候補にあがれるか?
参加予定は、フェリシティ・ハフマン、ティモシー・ハットン、リリー・テイラー、レジーナ・キング、コナー・ジェサップ、ジョーイ・ポラーリ、エルヴィス・ノラスコ、トレヴァー・ジャクソン、アンジェリーク・リヴェラ+ジョン・リドリーを含む制作陣2名。
5月9日「Veep」
今年も是非エミー賞コメディー部門を総なめして欲しい。シーズン6更新の発表があったばかり。
参加予定は、ジュリア・ルイス・ドレイファス、トニー・ヘイル、アンナ・クラムスキー、リード・スコット、ティモシー・シモンズ、マット・ウォルシュ、ケヴィン・ダン、スーフィー・ブラッドショー、サム・リチャードソン+制作陣1名。
5月10日「Power」
クリエイターは元「グッドワイフ」のライターだったコートニー・A・ケンプ。NYを舞台に、ナイトクラブ経営と麻薬売買、妻と愛人の狭間で生きる黒人青年の葛藤を描くドラマ。
参加予定は、オマリ・ハードウィック、リーラ・ローレン、ナトリ・ノウトン、ジョーゼフ・シコーラ+制作陣2名。
5月10日「The Circus」(会場はNY)
3月7日「現在進行中の『Billions』と『The Circus』が面白い」でご紹介した、現在進行中の2016年米大統領選の候補予備選挙から11月の投票日までを記録する異色政治ドキュメンタリー。
参加予定は、マーク・ハルペリン、ジョン・ハイレマン、マーク・マッキノン、司会はニュース界の大御所チャーリー・ローズ。
5月11日「ナルコス」
ネットフリックスのオリジナル・シリーズ。麻薬で富と力を得たパブロ・エスコバル対コロンビアと米国政府の血みどろの闘いを描く。
参加予定は、ワグナー・モウラ+制作陣2名。
5月12日「レイトx2ショーwithジェームズ・コーデン」
2月16日「『レイトx2ショーwithジェームズ・コーデン』公開録画に参加」でご紹介した、日本でもお馴染みのジェームズ・コーデン司会の夜のトーク番組。
参加予定は、ジェームズ・コーデン+プロデューサー2名(ベン・ウィンストン、ロブ・カリブ)
5月13日「Documentary Now!」
IFC局で、シーズン3までが確約されたシリーズは、ドキュメンタリーの歴史に残る著名な作品のスタイルを模倣し、架空の題材でオリジナル作を茶化す。シーズン1は7話制作。
参加予定は、フレッド・アーミソン、ビル・ヘイダー、セス・マイヤーズ。
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シーズン3が待ちきれない「Younger」
4月15日、ハリウッドにあるロンドン・ホテルで開催された「Younger」は、大入り満員でした。ホテルの宴会場に400人以上が詰め込まれ、7時半開場。
TVLand局から送られてきたイベントへの招待状。全キャストが参加した訳ではないが、アラフォー向けの作品だけに、参加したATAS会員はいつもより若年層だった。
残念ながら、ホテルに到着したのが遅く、最前列は疎か、舞台の正面の席はほとんど埋まっていました。仕方なく、脇の5列目に陣取っていましたが、試写寸前に関係者のために指定されていた30席余りが解放されたので、前に移ることができました。とは言え、脇の3列目から斜めに撮ったので、余り良い写真が撮れませんでした。
左から、モデレーターのローラ・プルダム(ヴァラエティ誌)、ライザ役のサットン・フォスター、クリエイターのダーレン・スター、ケルシー役のヒラリー・ダフ。(c) Meg Mimura
シーズン2の最終回を試写して、このお洒落で楽しいコメディーを観たことがない参加者にアピールしました。過去の経験から、観たことがない、あるいは全く興味のない作品の根回しイベントに参加するのは無意味/時間の無駄と悟りました。我が家の近くのATAS本部の劇場で開催されていた頃は、興味半分で参加していましたが、劇場が完成するまでは、LA全域で開催されるので、去年から厳選して参加する方針に切り替えた次第です。よく「観たことない」と言う人にお目にかかるのですが、余程暇なのか?レセプションで振舞われる美味しいもの目当て?と勘ぐってしまいます。
左からダイアナ役のミリアム・ショア、チャールス役のピーター・ハーマン、マギー役デビー・マザール。キャストの頭上にピンク色のライトが設置されており、場末のバーでどさ回り興行風でがっかり!
(c) Meg Mimura
昨年3月27日「サットン・フォスターのTV復帰作」としてご紹介した「Younger」は、アラフォー、バツイチママのサバ読み再出発の苦労を面白おかしく描くコメディーです。クリエイターは、女の友情を描かせたら右に出る者がいないと言っても過言ではない、「SATC」のダーレン・スターです。「最近、テレビ界は暗〜〜い、悲観的な番組だらけ。是非、逆流してやろう!と思ったんだ」と制作の動機を明かしました。「早く続きが観たい!」「えー、もうシーズン終わりなの?!」と思わせるのは、その明るさ、楽観性にあると納得しました。この手のドラメディーがもっと増えると良いのですが....
ライザの親友マギーを演じるマザールは、「マギーは、何があっても非難せずに、ライザをサポートする真の友達。丸ごと受け入れる女の友情と、心機一転がこのドラマのテーマよ」と言うと、男は入れ替わり立ち替わりするが、「女友達は永遠!が心髄」だと、次々とキャストが付け加えます。
ライザの若いツバメ(ジョシュ)や、ケルシーの婚約者(サッド)を演じる俳優はいずれも不参加。この日参加したキャストの’黒一点’ハーマンは、「男は入れ替わり立ち替わりって、消耗品みたいな発言だなー」と遺憾の意を表しました。とは言うものの、チャールスはライザに気があって、上司と言う立場上、行動に移せない役所ですが、この日観たシーズン2の最終話は、ライザがジョシュとチャールス両方に惹かれる、さー大変!の崖っぷちで終りました。
レセプションで一際目立ったのは、背の高いハーマン。出版社の社長チャールス(ハーマン)もバツイチパパ。幼い娘二人の子守りをライザに頼んだことから、「若いのに(?)、大人の会話ができる」とチャールスは事ある毎に頼るようになる。(c) Meg Mimura
庶民的が売りのフォスターは、いつ見てもファンへのサービス精神に満ち満ちている。ホテル屋上で開催されたレセプションで、サインに応じるフォスター。(c) Meg Mimura
パネルインタビュー後、参加者はホテル屋上で開催されたレセプションに殺到しました。私は、今年1月のTCAプレスツアーでインタビューした、ショアにシーズン2終了の感想を聞きたくて、エレベーター近く、会場の入口で待機していました。
本作で私が最も共感できるダイアナを演じるショアは、どのように演じるべきか結構リサーチをしたと言います。映画「プラダを着た悪魔」のアナ・ウィンター編集長のような上司に仕えたことがあるかどうか、友達に聞いて回った結果がダイアナと言う訳です。実際に体験したことがなければ、嘘か誇張としか思えない’伝説の恐竜’的役所です。「実存することが証明されたから、何の躊躇もなく悪魔を演じられる」と手の内を明かしてくれました。
ダイアナは努力して手に入れた権限や出世欲を隠さない現代女性ですが、アキレス腱が上司チャールスで、シーズン2の終わりでは、ライザにとられた感があります。諦めて欲しくないので、確認したところ、「差し当たり....この先どうなるかは、お楽しみ」と、ショアの目がキラキラ輝いていました。シーズン3が待ち切れません。
「字が下手っぴで、ご免なさい!」と繰り返しながら、サインに応じるショア。この作品に登板するまでは、「出るもの出るものキャンセルされたけど、私の所為じゃないのよ!」と笑う。(c) Meg Mimura
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4月18日、「Blunt Talk」に参加
4月18日、Starz局で初っ端から2シーズン制作が確約されていたコメディー「Blunt Talk」の根回しイベントがハリウッドで開催されました。
イベント参加予定は、パトリック・スチュアート、ジャッキー・ウィーバー、クリエイターのジョナサン・エイムズだったが、実際に舞台に登場したのは....
英国人ウォルター・ブラント(パトリック・スチュアート)がLAから発信する「Blunt Talk」は、米国文化を第三者の目で報道するケーブル・ニュース番組です。ウォルターのモデルとなったのは、CNNで3年ほど生中継のニュース番組を担当していた英国人ジャーナリスト/タレントのピアース・モーガンだとか。又、スチュアートが初めて出演したシェークスピアの劇中のキャラからウォルター・ブラントと命名しました。
「新スタートレック」のピカード艦長とは正反対の破廉恥ニュースキャスターを演じるスチュアート(左)。4月10日の「The Contenders」イベントで、名前や設定など、クリエイターととことん話し合って詳細を決めたと語った。 (c) Meg Mimura
ウォルターは、フォークランド紛争で戦った元英国海兵隊少佐だけに、何事も大真面目で取り組むべきと信じていますが、その生真面目さが災いして、職場のみならず、私生活でも酒/薬物/女に入れ込む悪い癖があります。
4月18日の根回しイベントには、先ずクリエイターのエイムズが登場。引き続き派手なピンクのドレスに身を包み、ラインストーンのポシェットを腕に吊って、しゃなりしゃなりと入場したのは....これ誰?と目を凝らしていると、金髪のカツラから覗いた顔は、何とスチュアートではありませんか!
パネリストが全員着席すると、スチュアートが立ち上がって、ピンクのドレスに相応しい声で挨拶。ロザリー役のウィーバー(左)、エイムズ(右)も笑いを噛み殺すのに必死である。「サンダーバード」に出てくるキャラに似ている。 (c) Meg Mimura
朝から何時間もかけて女装し、イベント終了後も撮影が続くため、スチュアートと、子分/相棒ハリー役のエイドリアン・スカボローは、セットからそのまま会場に駆けつけました。最初は女になりきっていたスチュアートも、「この格好で、シェークスピアを語るのは異様!」と本来のナレーター向きの声に戻ります。
(左から)スカボロー、ウィーバー、スチュアート。参加者が「スチュアートは、ケイト・ブランチェットにそっくり!」と指摘したが、スカボローの方が女装はお似合いだ。 (c) Meg Mimura
フォークランド紛争中、ウォルターに命を救われたハリーは、恩人の執事/子分/相棒として働いています。悪事の片棒を担ぐと同時に、ウォルターを窮地から救い出すのもハリーの仕事なのです。長年ウォルターの狂気の沙汰を許してきたロザリー(ウィーバー)は、局のプロデューサーですが、はちゃめちゃキャラが集う職場の母親と言っても過言ではありません。
シーズン2はどのような展開になるのか、特にこの女装場面が楽しみです。
(左から)ウィーバー、スチュアート、エイムズ。スチュアートは、如何にも座り心地が悪そうだったし、「付けまつげが重くて、目を開けていられない!」と悲鳴をあげた。 (c) Meg Mimura
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5月後半のエミー賞根回しイベント
【5月のスケジュール】
5月15日 「シリコンバレー」
1980年代、ハイテク・ゴールドラッシュのシリコンバレーで、一攫千金を夢見たベンチャー投資家とアスペルガー症候群風のコンピュータ・オタク達を描くコメディー。「Veep」と並んで、コメディーに弱かったHBOの名誉挽回作ではあるが、エミー賞は高嶺の花か?シーズン3進行中。
パネルインタビュー参加予定は、トーマス・ミドルディッチ、T.J.ミラー、ザック・ウッズ、アマンダ・クルー、ジョシュ・ブレナー、スザンヌ・クライヤー、スティーブン・トボロウスキー+制作陣2名。
5月16日 「マスターズ・オブ・セックス」
セント・ルイス市ワシントン大学で人間の性行動について共同研究し、報告書を発表した産婦人科医ウィリアム・マスターズと心理学者ヴァージニア・ジョンソンの公私を描く人間ドラマ。シーズン2までは、マスターズを取り囲む女性キャラ達が等身大で描かれていて面白かったが、シーズン3は安っぽいメロドラマに変身してしまい、悪評を買った。
イベント参加予定者から、今年はエミー賞ノミネートは全く期待していないように見受けるのだが....
参加予定は、マイケル・シーン、ボー・ブリッジス、サラ・シルバーマン+制作陣2名。
5月17日 「Diners, Drive-ins, and Dives」
Food Network局の売れっ子ガイ・フィエリの「Diners, Drive-ins, and Dives」は、全米食べ歩きシリーズ。吟味した新鮮な材料を手間隙かけて調理し、安くて美味しい料理を提供する’庶民の味方’ダイナーやドライブインを紹介して24シーズンを迎える長寿番組で、米国の食文化を塗り替えたと言っても過言ではない。
参加は、ホスト兼プロデューサーのガイ・フィエリ。
5月17日 「A Night Out」(会場はNY)
TBS局で放送中のトーク番組やコメディーのキャストを集めて、笑いを届ける4人をインタビュー。
参加予定は、コナン・オブライエン、ラシダ・ジョーンズ、サマンサ・ビー、ジェイソン・ジョーンズ。
5月18日 「The Jim Gaffigan Show」(会場はNY)
昨年、TVLand局で始まったジム・ギャフィガン自作自演のコメディー。2LDKで5人の幼い子供を育てるジムとジニー・ギャフィガン夫婦。ジムは、コメディアンとして出世を夢見ているが、現実はそう甘くない。シーズン2は6月19日に再開される。
参加予定は、ジム・ギャフィガン(キャスト兼プロデューサー兼ライター)、マイケル・イアン・ブラック、アダム・ゴールドバーグ、アッシュリー・ウィリアムズ。
5月19日 「Being Mary Jane」
BET局のオリジナル・ドラマ。独立独歩のメアリー・ジェーン(ガブリエル・ユニオン)は、アトランタのTV界で活躍するニュースキャスター。黒人女性で独り者=公私とも、イバラの道ではあるが、やるっきゃない!精神で真っしぐら。
参加予定は、ガブリエル・ユニオン、リサ・ヴィダル、ロレッタ・ディヴァイン。
5月19日 「Difficult People」(会場はNY)
売れないコメディアンのジュリーとビリーが、NY市民に八つ当たり!?辛辣さや自己中な振る舞いは、観るに耐えないが、NYでは当たり前なのか?
参加予定は、ジュリー・クラウスナー、ビリー・アイクナー、アンドレア・マーティン、ジェームズ・アーバニアク、コール・エスコーラ+制作1名。
5月20日 「EMPIRE 成功の代償」
大手レコード会社CEOの後継者選びを巡り、元妻と息子達の間で繰り広げられる醜い争いを描くドラマ。
参加予定は、キャスト+制作陣。
5月21日 「The Dresser」
同名の芝居を基に、英国人俳優と衣装方の人間関係を描くStarz局のテレビ映画。
参加予定は、アンソニー・ホプキンズ。
5月22日 「The Path」
カルト教団を描く暗くて、不気味なドラマ。この世界しか知らない妻サラ(ミシェル・モナハン)、妻に薦められて入団せざるを得なかった夫エディー(アーロン・ポール)と、サラが慕う教祖代理キャル(ヒュー•ダンシー)との三角関係が面白い。
参加予定は、アーロン・ポール、ミシェル・モナハン、ヒュー・ダンシー、ミシェル・リー+制作陣2名。
5月23日 「The Man in The High Castle」
第二次世界大戦で敗戦、ナチス・ドイツと大日本帝国に分割統治される米国を描くSFドラマ。アマゾンでしか観られないこと、日本人/日本文化が正しく描かれることは絶対に有り得ないので、どうしても敬遠してしまう。
参加予定は、ルーファス・シーウェル、ジョェル・デ・ラ・フエンテ、アレクサ・ダヴァロス+制作陣7名。
5月24日 「A Night Out」(LA)
TBS局で放送中のトーク番組やコメディーのキャストを集めて、笑いを届ける4人をインタビュー。
参加予定は、コナン・オブライエン、ラシダ・ジョーンズ、サマンサ・ビー、ジェイソン・ジョーンズ。
5月25日 「ホームランド」
CIA作戦担当官キャリー・マティソンの凄まじい公私を描くスパイ・アクション・ドラマ。シーズン5はドイツが舞台で、昨秋から12話を放送。シーズン6は、米国に舞台を移すと聞いている。
参加予定は、クレア・デインズ、ミランダ・オットー+制作陣2名。
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女性キャラの台頭が目覚ましい「Billions」に参加
4月26日、「Billions」に参加しました。会場は、ビバリーヒルズにあるWriters Guild Theaterで、今年参加したイベントの中で、我が家より最も遠い場所だったので、到着した頃には疲れ果てていました。
Showtime局が根回しに使用する番宣ポスター。左からマリン・アッカーマン(ララ・アクセルロッド役)、デイミアン・ルイス(ボビー・アクセルロッド役)、マギー・シフ(ウェンディ・ローズ役)、ポール・ジアマッティ(チャック・ローズ役)。
午後7時30分から、4月10日に既に放送済みのシーズン1最終話を試写。キャストの面々も客席で鑑賞した後、パネルインタビューの席に着きました。
左からモリーン・ライアン(Variety.com)、デヴィッド・ラヴィーン、ブライアン・コッペルマン、ジアマッティ、シフ、ルイス、アッカーマン、コンドラ・ラシャード。Photo by Eric Charbonneau/Invision for Showtime
リーマンショク以来、持つ者(1%)と持たざる者(99%)の間に存在する溝は広がる一方で、世界を動かしているのは、「1%の1%」とまで言われています。故に、富の偏りや階級、公平/不公平とは?などに、話題が集中してきました。本作は、チャック・ローズ検事(ジアマッティ)が代表する歴代の資産家(オールド・マネー)対、ヘッジファンドでぼろ儲けするボビー・’アックス'[=首切り斧と言う意味のボビーの渾名]・アクセルロッド(ルイス)が代表する成金(ニュー・マネー)の一騎打ちを描きます。
3月7日に「現在進行中の新作」でご紹介した時点では、1)権力対財力の飽くなき闘いを何シーズン維持できる?と、2)女性キャラは刺身のつま扱いだと指摘しましたが....シーズン1後半には、女性キャラの台頭が控えていました。シーズン1最終回、男の確執に巻き込まれたものの、チャックとアックスの間を巧みに泳ぎ、遂に大金を手にしたウェンディ(シフ)に軍配が上がりました。但し、アックスの相談役/応援団長として’敵陣’アックス・キャピタル社で、アックス以下社員を操ることに生き甲斐を感じていたセラピスト(=パフォーマンス・コーチと呼ばれる特別職)だけに、チャックとの夫婦関係には大きな亀裂が生じました。元々、仕事に生き甲斐を感じる余り、家庭を顧みないパワーカップルでしたから、当然と言えば当然の成り行きです。シーズン2では、あの大金を元手に、ウェンディが何をしているか?を想像するだけで楽しくなります。
レセプションの席で、番組の音楽担当者(左)と歓談するシフ。(c) Meg Mimura
一方、アックスとララ(アッカーマン)は、同様の貧しい環境で育ち、ここまでのし上がった成金パワーカップルです。今時の夫婦だからか、同じ穴の狢だからか、「この二人は完全に平等よ!」とアッカーマンが指摘しました。アックスは汚い手を使って金儲けに没頭し、ララは妹をシェフに迎えてレストランを経営すると同時に、二人の息子を’普通の子’に育てることに労力を注ぎます。又、いざと言う時には、二人で予め話し合った米国脱出作戦を実行するのも、ララの役目です。手段はどうであれ、社員も親戚も含め、身内を守ることが、叩き上げパワーカップルの生き甲斐なのです。
インタビュー終了後のレセプションで、気さくに歓談するアッカーマン(右)。(c) Meg Mimura
もう一人、ぐんぐんと力を見せ始めたのは、ラシャードが演じるケイト・サッカー検事補です。ケイトは、裕福な家庭で育ったお嬢様ですが、アックスを起訴しようと躍起になるチャックの下で働き、同僚ブライアン・コナティー(トービー・レナード・ムーア)に取り入って、出世の糸口を虎視眈々と狙っています。ケイトがシーズン2で何処まで出世するかも、楽しみです。
「SUITS/スーツ」のダニエル・ハードマンでお馴染みのデヴィッド・コスタビルは、本作ではアックスの右腕マイク・’ワグ'・ワグナー役で活躍しています。役所としては、ピアソン・ハードマン法律事務所の共同創設者で、事務所復帰や乗っ取りなど、様々な横槍を画策する悪徳弁護士ダニエルと、アックスの右腕ワグは同じ穴の狢と言えるでしょう。ワンパターンなのかなぁと思ってしまいますが、ワグの過去は本作では、まだほとんど明かされていないので、「もっとワグの事、知りたいよねー」と参加者を煽り、クリエイターに取り入るコスタビルでした。
左からコスタビル、ラシャード、ジアマッティ、アッカーマン、ルイス、シフ。Photo by Eric Charbonneau/Invision for Showtime
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無名の俳優が盛り上げる「Jane the Virgin」
去る2014年10月1日に「今秋の異色作『Jane the Virgin』が受ける理由」でご紹介しましたが、同作は2014年の期待のニューフェイス、ジーナ・ロドリゲス主演の「アグリー・ベティ」と「ギルモア・ガールズ」を掛け合わせたような、ベネズエラのテレノベラ「Juana la Virgen」の米国版です。マイアミを舞台に働き者で信心深い、ベネズエラ系三世23歳のジェーン(ロドリゲス)の生き様を描き、初年度にゴールデン・グローブやピーボディー賞など、多数の賞を受賞した異色コメディーです。
左からヤエル・グロブグラス(ペトラ役)、アンドレア・ナヴェド(シオマラ役)、ジャスティン・バルドーニ(ラファエル役)、ジーナ・ロドリゲス(ジェーン役)、イヴォンヌ・コル(アルバ役)、ハイメ・カミル(ロヘリオ役)、ブレット・ダイヤー(マイケル役)。
ジェーンの身に降り掛かった「あり得な~~い!」の発端は、結婚するまでは純潔を守り抜くと祖母アルバ(コル)に誓い、彼氏マイケル(ダイヤー)も了解していたのに、産婦人科の定期検診で誤って人工授精され、図らずもバージンで未婚の母になってしまったことです。更に、嘗てジェーンが恋い焦がれていたホテル王の御曹司ラファエル(バルドーニ)が’一粒種’を儲ける最後の頼みの綱だったと聞いてしまい、シーズン1ではマイケルとの婚約を解消して、ラファエルと暖かい家庭を....と夢見たジェーンです。
シーズン2進行中の4月19日、3月にCW局が開催した「Crazy Ex-Girlfriend」根回しイベントと同じく、ATASの向かいに位置するエル・ポータル劇場に向かいました。既に、開場を待つ会員が劇場を取り囲むように、長蛇の列ができ始めていました。まだまだ時間があるので、ぼーっと列に並んでいると、駐車場に向かうダイヤーが、携帯で長蛇の列を嬉しそうに運転席から撮影しているのを目撃してしまいました。他のキャストは、リムジンを横付けにしているのに、参加者と同じ駐車場に自家用車を駐めるなんて、何と庶民的ではありませんか!
CWは意欲作2本の根回しイベントを、エル・ポータル劇場で開催。(c) Meg Mimura
本読みがイベントの目玉であるかのように招待状には書かれていましたが、入り口で手渡された脚本は#201となっています。シーズン2の初回なら観たんだけど....と思いつつ、席に着きました。長テーブルが舞台ぎりぎりの所に設置され、次々とキャストが登場します。
数年前、「スキャンダル」シーズン2の最終回が放映されている時間に、根回しイベントが開催され、最終話をキャストが本読みしてくれたことがあります。そして、我が家に戻って録画を再生して、映像ではこうなっているんだ!と感心した経験があります。しかし、昨秋既に放映された逸話の本読みに、何の意味があるのだろう?きっと、最初の20ページくらいまでに違いない。それにしても、本読みに登場するキャストの数が多過ぎる?などと、考えている内に、どんどん先に進み、延々40分余りかけて#201を読み切りました。長すぎる~~!あくびが出たのは、私だけでしょうか?
本読みを披露する(左から)ジェーンの祖母アルバ役コル、初恋の人ラファエル役バルドーニ、ラファエルに未練たっぷりの元妻ペトラ役グロブグラス、ペトラの母マグダ役のプリシラ・バーンズ。(c) Meg Mimura
シーズン2は中盤以降に差し掛かり、話はどんどん進展しているので、今更初回を思い出しても何の意味もありません。ご存知のように、テレノベラは、所謂男女関係を綴る’昼メロ’で、英語圏の昼メロなど比べものにならないほど、芝居、仕草、台詞など何もかも極端に大袈裟で、筋や構想が破天荒なことで有名です。
本読み後、主要キャストがパネルインタビューに参加。裏話に興じる(左から)ジェーンの父親ロヘリオ役カミル、ジェーンの母親シオマラ役ナヴェド、ロドリゲス、バルドーニ。(c) Meg Mimura
故に、この日も、クリエイターのジェニー・スナイダー・アーマンは、5月16日放送のシーズン2最終回を明かすどころか、「ジェーンとマイケルが、本当に結婚するかどうか?それは、見てのお楽しみ!」と述べました。ジェーンが、又々ドタキャンするのか?とハラハラました。すったもんだが何話も続きましたが、結局挙式は滞りなく終わりましたが....三大崖っ淵が待ち構えていました。ハッピーエンドかと思いきや、其処此処に潜んでいる悲劇の数々。ジェーンの人生はどう変わるのでしょうか?
コル(左)とグロブグラス。グロブグラスは、「フランス人の父から学んだフランス語をもっと勉強して、世界で通用する俳優になるのが夢!」と目を輝かせる。(c) Meg Mimura
シーズン1では、夫ラファエルを引き止めようと、あの手この手を駆使する悪女ペトラを演じたグロブグラスでしたが....シーズン2ではラファエルの双子を出産、産後鬱病を患ったり、ジェーンに助けを求めたりして、本人の意思に反して弱味を披露し、私の最も好きなキャラになりました。タフなチェコスロバキア人の役ですが、グロブグラスはオーストリアとフランス人の両親の間に生まれ、イスラエルで育ち、ダンサー、モデルを経て、2013年のパイロット・シーズンにLAに移転した経歴の持ち主。「ヘブライ語で演技指導を受けていたので、英語の台詞にはまだ慣れません。それに、ペトラはチェコスロバキア出身だから、言葉も文化も一から勉強してます」とグロブグラスは述べました。又、シーズン2後半から、存在すら知らなかったペトラの双子の片割れアネスカの二役を見事にこなし、「こんなチャンスを頂いて、無駄にしないよう頑張ります」と意欲満々です。
シーズン3更新が3月に発表されましたが、1年目より視聴率は確実に低下しています。先週、CW局の今秋の編成が発表されましたが、「スーパーガール」がCBSから移転することもあって、マンガ本の実写化が益々増えて、「Crazy Ex-Girlfriend」と「Jane the Virgin」は少数派です。リメイクやリブート作品の蔓延で、創造力豊かなユニークなこの2本は、希少価値と言えるでしょう。
イベント終了後、サインと写真撮影に気軽に応じるバルドーニ(左)とダイヤー。若い女性ファンはラファエル派とマイケル派に二分される。(c) Meg Mimura
番組の中でも、テレノベラのスターを演じるカミル。歌手/俳優/トーク番組司会者は、メキシコでは知らない人はいないほどの有名人だが、アメリカではまだまだ知名度は低い。シーズン1に出演して、車のCFに出るようになった。(c) Meg Mimura
どの俳優もサービス精神旺盛で、最後の一人まで、実に丁寧に対応していました。無名の俳優を集めて始まった「コールドケース」同様、いつまでも高ビーにならず、ファンに感謝する集団でいて欲しいものです。
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6月の根回しイベント
【6月のスケジュール】
6月1日 「The Wiz Live」
昨年12月3日にNBCで放送された「The Wiz」の生中継。1975年ブロードウェイで上演されたミュージカルをソウル/R&Bにアレンジしたもの。
参加予定は、クィーン・ラティファ、メアリー・J・ブライジ、デヴィッド・アラン・グリア、NE-YO、シャニース・ウィリアムズ、イライジャ・ケリー、アンバー・ライリー、+制作陣5名。
6月2日 「You're the Worst」
恋に失望した作家ジミーといちゃいちゃが大嫌いな広告代理店のやり手グレッチェンが同棲し始めたらどうなるか?を探るFXX局の暗~~い、ロマコメ。
参加予定は、クリス・ギアー、アヤ・キャッシュ、デスミン・ボージェス、ケサー・ドナヒュー+制作1名。
6月3日 「Fresh Off the Boat」
台湾系アメリカ人一家が住み慣れたワシントンDCを離れ、フロリダ州でレストラン経営にチャレンジするコメディー。シリーズの土台「Fresh Off the Boat」の原作者自身が、「僕は観てない、観たくない」とツイートしたほど、内容がアメリカ人向きに豹変しているらしいし、アジア人全般への偏見に満ち満ちていて、観るに耐えない。人種別に分析すれば、アジア系視聴者は少ない筈。
参加予定は、ランドール・パーク、コンスタンス・ウー、ハドソン・ヤン、イアン・チェン、フォレスト・ウィーラー、チェルシー・クリスプ、ルシール・スーン+制作1名。
6月4日 「UnReal」
昨年6月1日に、シリ・アップルビーの新作としてご紹介した「UnReal」は、嫁選び合戦リアリティー番組の醜い舞台裏を描くブラックユーモア劇。余りにもリアル過ぎて観るのが辛い?
パネルインタビュー参加予定は、シリ・アップルビー、コンスタンス・ジマー、クレイグ・バーコ、フレディ・ストロマ+制作陣3名。
6月5日 「LEFTOVERS/残された世界」
ある日突然姿を消してしまった1億4千万人。3年後、ニューヨーク州メイプルタウンの住人達は、カルト宗団に入る者、武器を取る者、それぞれ心の処理を迫られる地球に残された者達を描くSFドラマ。
参加予定は、ジャスティン・セロー、キャリー・クーン、エイミー・ブレネマン、クリストファー・エクルストン、レジーナ・キング、ケヴィン・キャロル、アン・ダウド+デイモン・リンデロフ。
6月6日 「Casual」
フルで2015年10月から配信開始。良い歳をして未だ独身のアレックスの元に、離婚した妹ヴァレリーが、娘ローラと共に転がり込んで繰り広げる家族ドラメディー。
参加予定は、ミケーラ・ワトキンス、トミー・デューイ、タラ・リン・バー、ザンダー・ライトマン、ヴィンセント・カーシーザー、ケイティー・アセルトン、ニャシャ・ハテンディ、他。
6月6日 「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」(会場はNY)
サイバーセキュリティ技術者/ハッカーが、世界を牛耳る「1%の1%」に挑戦するテクノ・スリラー。
参加予定は、ラミ・マレック、クリスチャン・スレイター、ポーシャ・ダブルデイ、カーリー・チェイキン。
6月12日 「Billy on the Street」
コメディアンのビリー・アイクナーがNYの街角に出没し、ポップカルチャーについて聞く、所謂街角インタビュー。2011年からFuse局で放送されていたが、15年10月からtruTV局に移転したお笑い番組。
参加は、ビリー・アイクナー。
6月13日 「アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル」
ライアン・マーフィー創作・制作の「アメリカン・ホラー・ストーリー」(AHS)の第5弾。1920年代に建てられたホテル・コルテスに居を構える不老不死の美女=吸血鬼’伯爵夫人’(ガガ)と恋人ドノヴァン(マット・ボマー)で人気を博したホテル版。
参加予定は、レディー・ガガ、アンジェラ・バセット、キャシー・ベイツ、サラ・ポールソン、エヴァン・ピータース、ウェス・ベントリー、マット・ボマー、デニス・オヘア、シャイアン・ジャクソン、フィン・ウィットロック+制作陣2名(ライアン・マーフィー他)。
6月15日 「Grease: Live!」
本年1月31日に、ワーナー・ブラザース撮影所から生中継された「グリース」。放送前日にガンで亡くなったヴァネッサ・ハジェンズのお父さんに献呈された曰くつき。ミュージカルの生中継で視聴率を上げたNBCに習って、Foxが開始した視聴率獲得作戦の一端。
参加予定は、ジュリアン・ハフ、ヴァネッサ・ハジェンズ、カーリー・レイ・ジェプセン、ケサー・ドナヒュー、ジョーダン・フィッシャー、デヴィッド・デル・リオ、アンドリュー・コール+制作陣6名。
6月15日 「The Daily Show with Trevor Noah」(会場はNY)
「The Daily Show」はComedy Central局の深夜トーク/ニュース風刺番組。2015年9月、ジョン・スチュアートが退き、トレヴァー・ノアが引き継いだ。74%の視聴者が18~49歳の年齢層で、極めて好調だ。
参加予定は、トレバー・ノア、+ライターチーム。
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「American Crime」は今年もエミー候補に挙がる?
5月2日、「American Crime」の根回しイベントに参加しました。シーズン1は、限定シリーズの候補には挙がったものの、エミー賞は逃したので、今年こそ!と言う、意気込みが感じられます。
(左から時計回り)コナー・ジェサップ(テイラー・ブレイン役)、ティモシー・ハットン(ダン・サリバン)、{奥}アンドレ・L・ベンジャミン(マイケル・ラクロワ)/{手前}トレヴァー・ジャクソン(ケヴィン・ラクロワ)、レジーナ・キング(テリー・ラクロワ)、フェリシティ・ハフマン(レスリー・グラハム)、リリー・テイラー(アン・ブレイン)。
昨年は、ABCの撮影所で開催されましたが、今年はハリウッドにあるDirectors Guild of America (DGA)の劇場で行われ、多数のATAS会員が参加しました。4月10日に、同劇場でDeadline社主催の「The Contenders」でもご紹介しましたが、「American Crime」シーズン2について主演女優3人が夫々の役所を語りました。
入り口に堂々と展示された今年の番宣ポスターの巨大版。 (c) Meg Mimura
参加者が劇場に入る前に、珍しく(?)ワインとおつまみのおもてなしが待ち受けていました。大型ポスターの裏側では、レッドカーペットが進行中だったので、私は裏側に回って写真を撮ることにしました。
珍しくドレスアップしたハフマン(左)とストレートヘアに戻したキング。本当に仲が良さそうだ。 (c) Meg Mimura
この日は、シーズン2最終回を試写後、パネルインタビューが始まりました。シーズン2は、「未だに口にし難いレイプを扱うと決まっていたものの、リサーチをしている内に男子高校生同士のレイプに急遽切り替えた」と語るのは、リドリーとマイケル・J・マクドナルドのクリエイターチームです。又、最終話でふんだんに使われたコロンバインの乱射事件体験者の言をいかに引き出したかをリドリーが説明、会場は神妙に聞き入りました。
左からリドリー、ハフマン、キング。劇団の公演のように、演題毎に団員の役所が変わることが特徴の「American Crime」。ご覧のように、ハフマンもキングもシーズン1とは別人に変身! (c) Meg Mimura
シーズン1では、リドリー曰く「(イスラム教徒なので)目だけで演技した」キングでしたが、それが認められたのか、エミー賞助演女優賞を受賞しました。シーズン2ではカーリーヘアに切り替え、製薬会社の重役/インディアナポリスの名士テリー・ラクロワに変身!しました。地位を濫用して独り息子ケヴィン(ジャクソン)を守ろうとする過保護な母親でしたが、数々の出来事から何かを学び成長したのは、このキャラだけでした。
左からキング、ジャクソン、ジョーイ・ポラーリ(エリック・タナー役)、アンジェリーク・リヴェラ(エヴィー・ドミンゲス役)。特にリヴェラは、ヒスパニック系の問題児を演じていたので、すっかり見違えてしまった。(c) Meg Mimura
左からジェサップ、テイラー、マクドナルド。ジェサップは、「フォーリング・スカイ」のベン・メイソン役から、すっかり大人になった。テイラーのみが、外見は余り変わらないが、息子テイラー(ジェサップ)をどう守れば良いのか悩むレストランの店長役。(c) Meg Mimura
昨秋の数々の番組の中で、続きが観たい!と思わせる唯一の地上波局の継続番組としてご紹介しましたが、(2016年3月7日の「現在進行中の新作『Billions』と『The Circus』が面白い」を参照)ホモフォビアがシーズン2の核心です。背景に見え隠れするのは、私立対公立高校、階級/教養/貧富の差、陰湿化するいじめなどです。
現代の親が抱えているとてつもなく大きな問題が提示されていると同時に、若者が直面する数限りない障壁が赤裸々に描かれています。
被害者テイラーから、加害者に移行する過程を見事に演じたジェサップ。将来は明るい!(c) Meg Mimura
この事件で、一番損をしたエリックを巧みに演じたポラーリ。ジョー・ジョナスにそっくり!と言うと、「ディズニーのタイプなのかも?」と笑う。(c) Meg Mimura
重厚で気が重くなりますが、見応えのある限定シリーズでした。現代の若者でなくて良かった!と思うと同時に、親にならなくて良かった!と胸を撫でおろしました。
シーズン3については、4月10日に同劇場で開催された「The Contenders」の一環「American Crime」のセッションで、リリー・テイラーが「もう脚本に取り掛かっているって聞いたんだけど....」と仄めかしたのに対し、この日は全く言及されませんでした。更新、危うし?
雇われ校長/冷血漢を演じたハフマンは、「政治家の気持ちが良く解ったわ!だって、レスリーは『全体を考えれば、数人の犠牲者は止むおえない派』ですもの。そんなに責めないで~!」と弁護。(c) Meg Mimura
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米国人目線、LAで撮影の「Veep」
5月9日、パラマウント撮影所内の劇場で開催された「Veep」に参加しました。
今年の番宣ポスターは、シーズン4の最終回でセリーナ・マイヤー(ジュリア・ルイス=ドレイファス)の大統領就任が危うくなったため、「多分!」になっている。何となく自信のなさそうな顔つきでは? (c) Meg Mimura
今年も、4月から新シーズンが始まっており、この日は5月15日に放送予定の第4話「Mother」が試写されました。この逸話で来年のエミー賞は、またドレイファスが獲得するだろうと思うほどの出来栄えで、お腹がよじれるほど笑いました。
試写の後、キャストと今シーズンから制作を引き継いだデビッド・マンデルが登場しました。今年のイベント会場はいずれも照明が悪く、この日も、舞台上のキャストの写真は極めてお恥ずかしいものばかり。
左からマンデル、ドレイファス、トニー・ヘイル(ゲーリー役)、ケヴィン・ダン(ベン役)。 (c) Meg Mimura
「Veep」のクリエイター、アルマンド・イアヌッチが、自ら「潮時!」とシーズン4を以って降板し、英国に帰国したため、先ずは制作を引き継いだマンデルの紹介から始まりました。「『隣のサインフェルド』や『ラリーのミッドライフ・クライシズ』など、長~~い付き合いよ」とドレイファス。2012年以来、東海岸のボルチモア市で撮影してきましたが、今シーズンからLAで撮影しています。お帰りなさい。大歓迎です。
イアヌッチが英国人目線で制作していたのに対し、マンデルは「米国人目線に切り替えた」と発表しました。シーズン5では、オバマ大統領就任以来再燃し、益々大火になり収拾がつかなくなった人種差別を含め、米国の’今’が描かれています。歴史は繰り返すと言いますが、米国で生まれ育ったマンデルにしか見えない歴史の流れは、イアヌッチには捉え切れる筈がありません。これも大歓迎です。
2013年、根回しイベントに参加して知った「Veep」ならではの手作り感たっぷりの制作過程(7週間前にリハーサルし、アドリブを脚本に反映して4回書き直して仕上げ、完璧な脚本で2度撮影して編集する)をご紹介しました。ドレイファスは、「リハーサルにかける時間?今シーズンは約5%ほどカットしたわ」と言いますが、キャストがほとんど変わっていないので、5%減は妥当と思われます。つまり、作品の質には何ら変わりが無いと言うことです。
ドレイファスが、12年から4年連続エミー賞コメディー部門の主演女優賞を受賞したのは、大人に受ける洗練された政界内幕暴露コメディーが、如何に希少価値かの証拠ではないでしょうか?人気は益々沸騰、今年はパネルインタビュー後、お目当の俳優に近づくこともできませんでした。
サインや写真撮影を求めて、舞台際では押し合いへし合いが繰り広げられた。ダン(中央メガネ)はサインに、リード(右端)はツーショットに応じている。 (c) Meg Mimura
’牛目’の渾名で呼ばれるエミー賞助演男優賞受賞者ヘイルは、とにかくギョロ目が特徴。NYタイムズ誌で、セリーナと鞄持ちゲーリーの上下関係でありながらな、戦友/片思い/将来は茶飲み友達的な、今テレビ画面上で最も摩訶不思議な関係が取り上げられた。ヘイルの頭上左には、’でくの坊’ジョナを演じるティモシー・C・サイモンズのヒゲ面が見える。最近、ヒゲはリバイバルを果たした。 (c) Meg Mimura
シーズン5の第5話で、どこでどう間違ったのか、あの’でくの坊’ジョナ(サイモンズ)がニューハンプシャー州の下院議員に立候補!!!!何の役にも立たない、’コウモリ’でも、長年ワシントンにしがみついていると、こんなチャンスに恵まれる....と言う、政界へのあてこすりだ。さ、す、が。
5月8日、「グッドワイフ」の最終回が放送され、ゲーリー・コールに感想を聞ける!と勇んで出かけたにも関わらず、コールは不参加でした。「Veep」の大統領付上級戦略家ケント役のコールは、ダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)が、シーズン4で結婚した、’共和党バリバリ’のカート・マックヴェイを演じ、「グッドワイフ」終焉に意外などんでん返しをもたらした触媒的存在なので、突っ込んだ話をしたかったのに~。残念無念。
「となりのサインフェルド」のエレイン、「The Adventures of Old Christine」のクリスティーン、「Veep」のセリーナ。これがドレイファスのはまり役?と各ヒット作を分析するものの、エレインの中年バージョンがクリスティーンだと考えれば、セリーナが真のはまり役かもしれない。 (c) Meg Mimura
写真を何枚か撮った後、表に出ると、レセプションたけなわ!毎回、キャストは出席した試しがないので、いざ、食べよう!と思ったのですが、パネルインタビュー後小一時間は経っているのに、まだまだお腹を空かせて、長蛇の列に並んでいる参加者ばかりではありませんか。それとも、お代わりの列でしょうか?ウエイターが会場を持ち回っているおつまみで一時凌ぎするしか手はありません。
レセプション会場準備中。去年は暗くて写真が撮れなかったので、今年は入場する前にパチリ!大統領主催の晩餐会風? (c) Meg Mimura
今年は、何故か(?)スパイスたっぷりのメキシコ料理が振舞われました。金曜日の夜のこと、夜遊びにハリウッドに向かう人で渋滞する時間です。今、帰途に着くのは得策ではないと判断し、一番短い列に並ぶことにしました。それでも、割り込んで来る人、笑顔で厚かましい行為を平気でやってのける人、文句を言っても聞こえないふりをする人が後を絶ちません。腹は立つ、お腹は空く、ハリウッドの夜は更けていきます。
今年は、星を歩道に映し出す照明効果が抜群だった。 (c) Meg Mimura
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コーデンの全力投球が実った「レイトx2ショー」の裏話!
TCAプレスツアーの一環として、1月に公開録画に参加したことは、2月16日の記事でご報告しましたが、今回は5月5日の「レイトx2ショー with ジェームズ・コーデン」の根回しイベント入手した裏話をご報告します。
「レイトx2ショー with ジェームズ・コーデン」の根回しイベントも、エル・ポータル劇場で開催された。開場まで2時間余りあるのに、早々と行列が。(c) Meg Mimura
昨秋始まったばかりの「レイトx2ショー」のハイライトを披露して、会場の雰囲気が盛り上がったところへ、コーデンが登場。「すっごい!もうこれだけ放送したんだ!」と感激の一言を発して、挨拶しました。「毎晩、テレビでやりたい放題できるなんて、本当にラッキー」「最高に幸せ!」「エミー賞なんて恐れ多い!」など、セッション中何度も感謝の念を伝える謙遜なコーデンです。
左からモデレーターのビル・カーター、コーデン、ベン・ウィンストン、ロブ・クラブ。ウィンストンはコーデンの親友、英国でも番組を制作していた。米国側からは、クラブが関与。(c) Meg Mimura
英国では人気者のコーデンが、「放送開始10日前なのに、CBS撮影所に入れてもらえないんだ。顔パスが効かないってことじゃん、参ったよ。守衛の後ろには、’この顔’がデカデカとビルボードに出てるのにだよ。」と言います。「この国では知名度が低いからって、執行猶予期間なんてもらえないから、放送と同時に視聴者をつかんで離さないユニークな’何か’が必要だった。」と、英国から同行したウィンストンが付け加えます。
と言う訳で、この番組の代名詞になった「カープール・カラオケ」や「クロスウォーク・ザ・ミュージカル」などが誕生しました。現在、108本のビデオがオンラインで視聴できます。「カープール・カラオケ」は、英国でも制作していたそうで、1月にウィンストンから手順を聞いていました、この日はテクニカルな説明はありませんでした。先行車がコーデンを誘導するので、カラオケに専念できること、車内に7台のカメラが設置されていることがスムーズな制作に繋がっているのだとか....
カラオケの初ゲストは、歌姫マライア・キャリーでしたが、コーデンの度重なる誘導にも関わらず、なかなか乗って来ず、「冷や汗ものだった」と言う。何曲も不発に終わるが、撮影所に着く頃には....コーデンの冷や汗をじっくりご覧あれ。
CBS撮影所前(ジェネシーとビバリーの角)は、危険が一杯!コーデンが制作するヒット・ミュージカルが、横断歩道で上演される。信号が変わるのを待っているドライバーの反応に注目!但し、近辺をパトロールするお巡りさんから「今度、交通妨害したら、逮捕なのだ!」と警告を受けている。ショービズは命懸け!?
「世知辛い世の中なので、『ほんわか』がモットー」とは、昨夏の制作発表時のコーデンの言葉ですが、温かさと庶民的が売りです。又、単なるトークばかりでは、テレビと言う映像媒体を最大限に利用していることにならないので、「感覚的/視覚的に差別化しなければ、生き残れないと確信していた」と、プロデューサー達は舞台裏を披露。こんな機会は二度とない!と、コーデン始め関係者一同が果敢に全力投球している様子がひしひしと伝わってきました。
コーデン(左)とウィンストンはツーカーの仲だと言うが、ウィンストンの暖かい眼差しは、息子を見守る親のようだ。(c) Meg Mimura
ハリウッドへの殴り込みの感想を(英国人)参加者から尋ねられ、コーデンは「お世辞には頑張って!って言うけど、本音はやっかみの英国人に比べると、アメリカ人は裏表がない」と答えました。英国人気質って、日本人の本音と建前の狭間と同じなんですね?
私も、ハリウッドに落ち着いて15年余りになりますが、足を引っ張るのは、他でもない日本人です。ハリウッドに集まってくるクリエイティブな人種は、お互いの才能を敬い、真摯に成功を祈ってくれます。「居心地は満点!」と、評価したウィンストンに、乾杯!私も同感です。
ファンと歓談するコーデン。(c) Meg Mimura
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「シリコンバレー」の心髄は?
※「シリコンバレー」シーズン1、2のネタバレがあります。
5月15日、ハリウッドにあるリンウッド劇場でHBOのコメディー「シリコンバレー」の根回しイベントが開催されました。日曜日だったので、交通渋滞がなく、すいすいと会場に到着しましたが、もう長蛇の列ができていました。
4月24日、シーズン3が再開されましたが、プレミア3日前(21日)にシーズン4の更新が発表された、まだまだ鼻息の荒いコメディーです。この日は、午後12時から同日夜に放送予定の第4話を試写してから、パネルインタビューが実施されました。私はシーズン2の第1話しか観ていなかったので、「へー、この人が....」とキャラの変遷に感心するばかりでした。その割には、リチャード(トーマス・ミドルリッチ)は、まだ足踏み状態?です。あれだけ苦難を乗り越えたのに、海千山千の起業家や投資家と張り合う自信は未だにゼロ。少しは逞しくなっていて欲しかったのに....
左からクリエイターのマイク・ジャッジ、プロデューサーのアレック・バーグ、相変わらず優柔不断のリチャードを演じるミドルリッチ。(c) Meg Mimura
アーリック役のT.J.ミラーは、開口一番「HBOは高くて加入できないんだけど、共演者の仕事ぶりを観るのは好き。」と意味不明の発言で参加者を煙に巻きました。更に、「アーリックは口だけが達者なペテン師だね。技があるとは思えない....」と笑いますが、シーズン2最終回でピンチを脱するため、プログラミングを披露しましたから、全く技がないとは言えないのではないでしょうか?但し、アーリックは自分の利益(権力と財力)を守る為には、何でも平気でやってのけますから、信頼できるキャラではありません。
ミドルリッチ(左)とミラー。友達でもない、上下関係、師弟関係でもない、摩訶不思議な関係を持続するリチャードとアーリック。敵?味方?が状況によって変わるので、油断できない。(c) Meg Mimura
モデレーターから「ジャレッドって、仏様みたいな人ですね〜」と褒められたザック・ウッズは、照れながら「いや、実は暗〜〜い過去がありまして....と言うか、自分なりに描いたジャレッドの過去を小出しにしているだけなんです。」と秘密を明かしました。社交性はゼロですが、マイナス思考ではないし、周囲に迷惑な行動、発言もしません。時々、ハッとするような発想を披露する根っからの善人。こんな友達が欲しい!と思うのは、私だけでしょうか?
フーリ社で毎日飼い殺し生活をしていたビッグ・ヘッド(ジョシュ・ブレナー)は、リチャードと一緒にデータ・コンプレッション・アルゴリズムを開発していた’繋がり’に目を付けられ、あれよあれよと言う間に出世していきます。この日観た第4話でも、豪邸に住み、アーリックの羨望の的です。ビッグ・ヘッドの無欲の勝利は、庭師から大統領候補に祭り上げられ、飄々と独り寂しい生活を送った映画「チャンス」を彷彿させます。
ラヴィーガ・キャピタルのCEOピーター・グレゴリー(クリストファー・エヴァン・ウェルチ)の後釜に座ったローリー(スザンヌ・クライヤー)も、雰囲気が読めないもテクオタクの最たるキャラです。リチャードに優しい唯一のキャラ、常識人モニカ(アマンダ・クルー)には、ローリーは飽くまで謎で、しょっちゅう「へー、そんなことしちゃうの?!」「そんなこと言っても大丈夫?」的眼差しを向けられています。
左からウッズ、ブレナー、クライヤー。各自が演じるキャラは、リチャードを中心に回る衛星だが、現在の力関係が将来どうなるか、シーズン毎にどう変わるのかが、本作の見どころ。(c) Meg Mimura
制作陣は、番組ファンの入れ込みを重んじて、今後の展開を慎重に検討していると語りました。負け組が圧倒的な勝利を手にしてしまえば、「シリコンバレー」の前提が崩れてしまうので、「成功と失敗のバランスの問題。金で解決できない問題は、山ほどあるからね」と言うのはジャッジ。要は、パイドパイパー社の創始者間で、力関係がどう変わるか?が、このコメディーの心髄なのです。
ファンと記念撮影するミドルリッチ(右)。ミドルリッチの地=リチャード?と思うほど、おどおどした様子だった。(c) Meg Mimura
日曜日の正午から始まった根回しイベントは、午後2時過ぎに終了しました。会場を出ると、お腹を空かせた参加者を待ち受けていたのは、メキシコ料理のバイキングでした。ビールやワインも飲み放題です。何故、この日も(「Veep」と同じく)メキシコ料理だったのかは不明ですが、日曜日の昼下がり、十分楽しませて頂きました。
「グッドワイフ」にジェフ・デリンジャー(アリシアの会話を盗聴していた米国家安全局の契約局員)として4話(2013〜16年)出演していたウッズに、フィナーレの感想を聞いた。「ちょっと暗かったけど、秀作にふさわしい終わり方だったと思う」とコメントしてくれた。今シーズン、あのキャラはどうなったのかな?と思っていたら、登場してくれたウッズとアナ・キャンプ(デビッド・リーの姪ケイトリン)に感謝したい。(c) Meg Mimura
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テレビアカデミー本部、2年弱振りにリオープン
2014年8月26日以降、米国テレビ芸術科学アカデミー(ATAS)本部の拡張改築のため、旧館の事務所以外は閉鎖されていました。およそ2年振りの去る6月1日に完成、リオープンし、2日には、テレビ芸術科学アカデミーから一般に親しまれてきたテレビアカデミーに名称を変更、また組織設立70周年を祝って、テレビ業界の大物や古株が祝賀パーティーに集いました。
先ず、4月15日にエミー像が戻ってきたと聞きつけ、早速ビデオを観ました。2年近くもノース・ハリウッドから姿を消していたエミーが新居に戻ってくる旅をご覧ください。いつも下から見上げていたエミーを、真正面から見たのは初めて。想像していた顔と余りにも違うので仰天しました。
テレビアカデミーの会員(管理職ではなく、現場で一番きつい仕事をしている下っ端)は、6月3日のオープンハウスに参加しました。但し、同日午後7時からABCの「Fresh Off the Boat」のエミー賞根回しイベントがハリウッドで開催されたため、オープンハウス参加者は意外と少なく、芋の子を洗うような混雑にはなりませんでした。
午後5時30分頃に到着し、日没前に撮った写真。エミー像の背後にガラス張りの近代建築物が新設された。 (c) Meg Mimura
テレビアカデミーの’キャンパス’には、ハイーム&シェリル・サバン夫妻が寄贈したサバン・メディア・センターが新築されました。センター1階、これまでイベントや映画試写会場だったレナード・ゴールデンソン劇場は、最新鋭のドルビー・テクノロジー(音響、映写機器)の粋を集めたウルフ劇場に生まれ変わりました。「法と秩序」シリーズやシカゴ・シリーズ(「シカゴファイアー」や「Chicago Med」「Chicago P.D.」など)で財をなしたプロデューサーのディック・ウルフ夫妻が寄贈したので、ウルフ劇場と命名されました。
劇場ロビーに設置されたバー。背後にはモニターが3台設置され、エミー賞授賞式やイベントの記念写真を映し出す。 (c) Meg Mimura
この日は、夏日で午後6時でも気温が下がらず、センターに入るや否や、会員は冷たい飲み物を求めてバーに殺到しました。劇場には、午後7時まで入場できないので、ロビーの壁に展示されたスポンサーを見たり、ドルビーの3Dスクリーンの小型展示(と言っても、優に70インチはある)を鑑賞しました。確かに画面が明るく、色が鮮やかで、我が家にも一台欲しい!ものです。(笑)
劇場ロビーには、センター拡張改築に多額の寄付をした組織名が展示されている。タイム・ワーナー、ディズニー、21世紀フォックス、ネットフリックスが四大スポンサーだ。 (c) Meg Mimura
午後6時30分辺りから、夕食が振舞われ始め、皆ロビーを後にして屋外に。広いキャンパスを利用して、アジア風、イタリア、アメリカ料理のテーブルで好きなものをお皿にとるバイキング形式です。アジア風は牛肉の串焼きと中華風チキンサラダ、イタリアンは、パスタ2種とシーザーサラダ、アメリカ料理はスライダー2種(超小型ハンバーガー)とフライドポテトと、バラエティーに富んでいました。今年の根回しイベントに比べれば、長蛇の列もなく、食べ物も飲み物もふんだんにあり、落ち着いた雰囲気の立食パーティーでした。
立食パーティーは、センター前の広場で行われた。キャンバス全景を2階の会議室から撮影。 (c) Meg Mimura
午後7時になり、やっと入場が許可されました。暗い廊下を通り抜けると、目の前に広がったのは、階段教室風の会場でした。以前は、アールデコ調の落ち着いたインテリアでしたが、新劇場はドルビー・ラボラトリー社の最新鋭の技術を集めたドルビー3Dシネマになっていました。120個のスピーカーを使ったドルビーアトモスで、世界最新鋭の劇場ですが、今後10年間、無料で技術更新が確約されています。
階段教室のように急斜がついており、以前より座席が大きくて座り心地満点。また、座席の位置に工夫が凝らされていて、前に背の高い人が座っても、視線を遮ることがない。 (c) Meg Mimura
最新鋭の技術の粋を集めた映像が披露され、画像や色の美しさは現実以上で、目を見張るばかりでした。但し、サラウンド音響効果は、床が揺れるほどの迫力で、後部席に座らなければ、映画1本を乗り切る自信はありません。私が音に異常に敏感なのか、それともほとんどの観客は聴覚を失っているのか?劇場を出てから、誰からも音量に文句が出なかったので、やはり私の問題のようです。耳栓持参しかありませんが、スピーカーは床にも設置されているので、どうしたものでしょうか?
2階には、テレビアカデミー傘下のアカデミー財団の職員が引っ越ししてくる予定ですが、まだ空のスペースを見ることが許されました。2階角にある会議室は、ガラス張りのオシャレなスペースです。
見学が終わって外に出ると、もう夕闇が迫っています。この日のために、巨大な照明器具が持ち込まれて、センターは紫色に、休館はオレンジ色に照らし出し、幻想的な雰囲気を醸し出します。
黄昏時のエミー像とテレビアカデミー旧館。改築前は、噴水の中にエミー像が立っており、並木と水の音が都会のオアシス風で爽やかだったが、すっかり都会化してコンクリートジャングルになってしまった。 (c) Meg Mimura
もっと緑を取り入れて欲しかったな~。噴水は残しておいて欲しかった....など、不平不満がない訳ではありませんが、文句を言える立場ではないので、とにかく最新鋭の劇場で映画やイベントを楽しみたいと思います。
いつか!と狙っているエミー像の前で。 (c) Meg Mimura
ドルビー・テクノロジーの実演が聴覚、視覚を余りにも強烈に刺激したため、この夜は一睡もできませんでした。発光体が脳に及ぼす影響を再度、思い知らされました。
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夏の風物詩!ニューヨークフィルコンサート@セントラルパーク
皆さん、お久しぶりです。竹村由紀子です。
日本は梅雨ですっきりしないお天気の日が続いているかもしれませんが、ニューヨークは梅雨がないので、一足先に夏が来ています。
ちょうど今の時期は、暑くもなく、寒くもなく、カラッと晴れて、気持ちのいい日が続くので、ニューヨークのベストシーズンではないかと思います。
こちらに引っ越して、あっという間に2年半が経ちました。猫連れでルームシェアを探しても、なかなか住むところが見つからなかったり、ビザが取れるかどうかわからなくてドキドキしたり、様々な困難がありましたが、ようやく落ち着いて生活できるようになって来ました。
このブログを見ている方のなかにも、いつかニューヨークで働いてみたいな!と思う方もいるかもしれないので、少しずつ書き留めていけたらと思っています。
ニューヨークに来たことがある方ならわかると思いますが、ここで暮らすのはお金がかかって大変です。
たとえば、高いレストランでなくても、ランチにサンドイッチとコーヒーを頼んだら、チップを入れて2000円以上、トイレットペーパーが12ロールで800円以上、ここに住むのはちょっとなーと思うような日当たりの悪い狭いワンルームのアパートでも、マンハッタンであれば家賃が最低18万円…
もう一体どうなっているんだ!?というレベルです。
それに伴って、お給料がよければいいのですが、移民が高給を稼ぐのは至難の業です。
英語と日本語が話せて、プラス専門的な仕事のスキルと忍耐力と運があれば、なんとかなるかもしれません…
が、私もいつも自分の未熟さを痛感しつつ、なんとか、かんとかやっています。
と書くと「えー」という感じかもしれませんが、大変でも何でも、ニューヨークでの生活はやっぱり楽しいです。さすが世界中の人を魅了する街だなあと思います。
お金があれば、コンサートでもオペラでも、ミュージカルでもバレエでも、世界一の公演を見ることができるのはいうまでもありませんが、お金を使わなくても楽しむ方法がたくさんあるのです。
今日は、セントラルパークでニューヨークフィルのコンサートにいってきました。ニューヨークの夏は、コンサートや映画上映会など、無料で楽しめるイベントが目白押しなんですよ。
リンカーンセンターに着飾って出かけ、楽器を奏でる指先を見つめながらクラシックに耳をすますのも、もちろん素敵ですが、芝生に寝そべり、刻一刻と表情を変える夕暮れの空を眺めながら聞くニューヨークフィルの演奏には、また違った魅力があります。
風に流れる雲を見ながら、豊かさって何だろう?と考えてしまいました。
こんな風に、子供でも年老いていても、お金があっても、あまりなくても、誰でも本物の芸術に触れる機会がたくさんあるって素敵なことですよね!
日本にもこういう機会があればいいのになぁと思わずにいられません。
普段クラシックを聞かない人でも興味を持つきっかけになるし、会社帰りに気軽に楽しむことができるし、最高ですよね。
今回は、クラッシックコンサートを楽しみましたが、シェイクスピア・イン・ザ・パークという無料で見ることができる舞台も、毎年夏にセントラルパークで行われています。
今年のシェイクスピア・イン・ザ・パークのガライベントでは、大女優メリル・ストリープがアメリカ大統領候補のドナルド・トランプに扮して登場し、話題になりました。
そして、ヒラリーを演じたのが、海外ドラマ「グッド・ワイフ」や「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則 」でお馴染みのクリスティーン・バランスキー。
どちらも、演技力がずば抜けているだけでなく、ダンスも歌唱力も際立った女優さんです。
英語では、三拍子揃った才能を持つ俳優さんを"triple threat"と呼びます。日本語にすると「三つの脅威」です。スポーツ選手にも使うようですよ。
そんな一流のお芝居を無料で見ることができるなんて、さすがニューヨーク。シェイクスピア・イン・ザ・パークの開演は夜ですが、無料のチケットを求めて、朝早くから行列ができるんです。
ニューヨークの夏はタダなのに豪華!ニューヨーカーは楽じゃないとぼやきつつも、なんだか日ごろ頑張ったご褒美をもらえたような気分です。
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昨今押し寄せるアンチヒロインのうねり「UnReal」
元々、女性向けのケーブル局として1980年代から君臨していましたが、ケーブル局数の増加に引き続き配信形態の複雑化で、完全にニッチを失ってしまったLifetime局。昨年、同局がオリジナルドラマシリーズとして発表した「UnReal」がヒットし、名誉あるピーボディー賞まで受賞して、久々に脚光を浴びています。故に、エミー賞も夢ではありません。このイベントで、投票者の心を鷲掴みにしようという意気込みを感じました。
「UnReal」については、2015年6月1日に放送開始となったシーズン1を同日「シリ・アップルビーの新作『UnReal』はリアル過ぎて辛い!」でご報告しました。本年6月4日、午後5時からハリウッドで開催されたエミー賞根回しイベントは、6日(月曜日)午後10時開始のシーズン2への期待感も高く、会場は女性ファンで満席となりました。
土曜日の夕方とあって、ハリウッドはまだ車でスイスイと走れましたが、ご多分に洩れず、毎回一番乗りして最前列に陣取る連中が、既に到着して並んでいました。ガラス越しに中を覗くと、ロビーの片隅には、超短いレッドカーペットが設置されています。開場30分前あたりから、正面入口に次々と番組関係者が到着して、レッドカーペットに向かいます。開場5分前に、あたふたと駆けつけたのは、英国ホテル王の御曹司アダム役のフレディー・ストロマでした。ストロマの腕に嬉々とぶら下がっているのは、劇中リアリティー番組「Everlasting」の相手役アンナを演じたジョアンナ・ブレイディではありませんか?番組が取り持った縁とは、正にこのことです。
劇場に足を踏み入れると、銀幕にはシーズン2の番宣ポスターが掲示されている。最近の業界誌には、シリ・アップルビー(レイチェル役)はエミー賞主演女優カテゴリー、コンスタンス・ジマー(クィン役)は助演女優カテゴリーに推薦したことが取り上げられている。何でも今年は俳優名をアルファベットの逆順(ZからA)で一覧表にしたため、ジマー(Zimmer)の方が有利だと報道されているが、私は実力から判断してジマーがノミネートされる確率は高いと診ている。 (c) Meg Mimura
レッドカーペットが長引いたため、予定より30分余り遅れて、シーズン1の最終回が試写されました。もう、4回くらい観てるんだけど....とついつい、居眠りしてしまいました。終了後、舞台にクリエイター、プロデューサー2人とアップルビー、ジマー、ストロマが登場し、パネルインタビューが実施されました。
左からモデレーターのエリザベス・ワグマイスター(ヴァラエティーTVレポーター)、サラ・ガートルード・シャピロ、アップルビー、ジマー、ストロマ、ステイシー・ラカイザー。 (c) Meg Mimura
創作に手を貸したベテラン放送作家マーティ・ ノクソンは退き、シーズン2から新たにロバート・M・サートナーとステイシー・ラカイザーが制作に加わりました。うん十年前(?)ABCの「The Bachelor」で働いていたシャピロの体験を基に本作が生まれましたが、「The Bachelor」の司会者クリス・ハリソンが「『UnReal』は目も当てられない!」と酷評した事実をモデレーターが早々に持ち出しました。
「クリスは職場の同僚だったけど、辞めてからは連絡したこともないわ」とシャピロが答えます。劇中の嫁取り合戦「Everlasting」の司会者グラハム(ブレナン・エリオット)を、スター気取りの薄っぺらなナルシストとして描いている事実を見れば、取るに足りない人間のコメント等、痛くも痒くもないに違いありません。そこへ、ジマーが「コメントするってことは....ご視聴、ありがとうございます!って言いたいわ」と茶々を入れます。会場が大いに湧いた所へ、シャピロが「今朝、あの頃の上司から電話があって、現実は『UnReal』よりもっとひどい!って、私の作品を褒めてくれたもの」と明かしました。えー、本作よりもっと卑劣な番組に出たい人って、性格が歪んでいるのか、売名行為のいずれかとしか考えられません。
パネルインタビュー終了後、投票者へのサービスとして写真撮影に応じる(左から)アップルビー、テレビアカデミー会員、ジマー。 (c) Meg Mimura
長年ジマーのファンなので、「UnReal」の制作発表時から応援してきました。ジマーならではの助演キャラ作りに常に圧倒されてきましたが、初めてインタビューした際、「主役じゃなくても、味のある役を選んできた」と述べました。性格俳優的要素を持っているジマーならではの答えですが、「UnReal」のクィン役も「飽くまで助演だと思っている」と言います。そうでしょうか?同様のアンチヒーローがテレビ界では長年横行してきた事実を指摘しましたが、「リアリティー番組作りに関わっていると、女だからって容赦してくれないもの。敏腕プロデューサーって、男も女もこんなものよ!」と舞台裏を披露しました。
もともと、クリエイターの夢のキャストがジマーで、「数回丁重にお断りしたんだけど、それでもめげないサラ(シャピロ)に根負けしたの」と笑います。「こんな暗い、卑劣な女をどう演じたものか?全く、検討もつかなかったから」が何度も辞退した理由です。パイロット版をモニターに観てもらった時に、笑いが取れるのは気詰まりな雰囲気でクィンが発する一言だったため、「私には笑わせる能力はないけど、セリフを言うだけで良いんだって悟ったの」と言います。「心地良いことばかりやっていたのでは、人間は進歩しないでしょ?恐怖心に真っ向から立ち向かわなければ!」とは、ジマーの人生観です。
シーズン1放送中に街でジマーに声をかける人達は、「ガラガラ蛇に近付く感じ....?」だったとか。応対しているうちに、「流石、女優さんですね。演技なんですね?」とクィンからは全く想像もつかない温和な人柄を褒められるそうです。人柄然り、衣装も然りで、普段はピチピチのミニドレスやハイヒールには無縁の生活をしているので「衣装に手を通すと、クィンに成り切れるから、制服みたいなものね!」と役作りを披露しました。
シーズン2で、逸話監督を果たしたアップルビー。「セットで育った子なので、いつか演出するのが夢だったの。でも、演出と同時に演技って、疲れるわ!」と語った。この日は、機嫌が良かったのか、根回し運動のサービス精神に目覚めたのか、気軽に写真撮影に応じてくれた。 (c) Meg Mimura
シーズン2は現在進行中ですが、第1話から前シーズンとは全く別世界です。シーズン1では、クィンの要請で渋々職場に舞い戻り、尻を叩かれて漸く、クィンの言いなりになっていたレイチェルが一念発起!二人とも男に失望、その分、金と力を手に入れようと、益々仕事に没頭します。クィンが制作総指揮の座に昇格し、愛弟子レイチェルを、番組プロデューサーに抜擢します。そして、花嫁候補を操る役目は、一見純情そうなインターンにお鉢が回ってきますが、蓋を開けてみると....これまで男どもにあらゆる面で牛耳られてきた女達が謀反を企て、リアリティー番組制作現場は、アンチヒロインの巣窟となって行く過程が描かれます。
レイチェルを演じるに当たって、同様の仕事をする女性プロデューサー達に「花嫁候補を操ることに後ろめたさは感じない?って聞いたら、『それじゃ仕事にならないわ!』と皆に言われちゃった」と驚きを語るアップルビー。
男に失望した寂しい女が仕事を生き甲斐とした時、職場が’家族’に取って代わり、こんな不健康な所に長居すれば、ボロボロになると解っていながら、辞められない....他に生きる場所がないから....実に侘しい、凄まじい世界です。本作は、今米国テレビ業界に押し寄せるアンチヒロイン・ブームの第一波として、うねる大波に変わりつつあります。
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